不動産投資は立地選びが重要。需要のある立地を選ぶポイント

 

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不動産投資で良い立地というと、ついつい東京都内の人気エリアや憧れの街ランキングで上位にあるエリアの物件を思い浮かべてしまいがちです。

しかし良い立地とは、必ずしも人気の街を指すわけではありません。

不動産投資で大切なのは街の人気度ではなく「長期的に賃貸需要を見込めて安定したキャッシュフローを維持できる立地かどうか」です。

そこで今回は、将来も賃貸需要が見込める立地選びのポイントについて解説します。

「東京都の物件は高い」「かといって地方の物件は土地勘がなく、わからない」と立地選びで悩んでいる人は、投資判断の参考にしてみてください。

1.不動産投資で立地選びが重要な理由

賃貸収入(インカムゲイン)を目当てに不動産投資する場合は、賃貸需要を見込める地域・立地選びが重要です。

賃貸需要がなければ、当然空室率は高くなります。空室対策に家賃を下げたり、修繕を重ねたりしていけば、今度はキャッシュフローが悪化してしまう可能性が出てきます。

だからこそ、長期的に安定したキャッシュフローが見込める、一定の賃貸需要のある地域・立地選びが必要なのです。

さらに、日本は少子高齢化による人口減少社会に突入しています。

東京23区やその周辺の超人気エリアは別として、多くの都道府県ではゆるやかに人口が減り続けています。

「人口は減っているが、単身世帯数は年々増加している。世帯数が多ければ賃貸需要は見込める」とする向きもありますが、増えている単身世帯の多くは中年層・高齢者層です。

中年層はまだしも、高齢者になると火災リスクや孤独死による事故リスクが高くなります。

需要はあっても、別のリスクが出てくるのです。リスクは抜きにしても、出生数自体が減っているため、将来的には世帯数の増加も落ち着くのではないでしょうか。

不動産は簡単に買い換えできない現物資産です。

「期待して買ったけど立地がよくなかった。

売却して違う立地を探そう」と思っても、希望価格で売却できる保証はありません。

だからこそ地域や立地選びにこだわり、安定したキャッシュフローを得られるようにしてください。

2.土地勘のない地域で賃貸需要のある立地を見極めるポイント

人気のある街や地域の物件が、必ずしも不動産投資で有利になるとは言えません。

たとえば急激に人口が増えている人気地域では、賃貸物件が乱立して供給数が過剰になっているケースがあります。

また人気地域になると物件価格が高騰しているため利回りが低く、満室なのに赤字経営に陥ることもあるでしょう。

人気の街・立地だからキャッシュフローも安定するとは限らないのです。

それでは、どうすればいいのでしょうか。

土地勘がない街で良い立地の物件を見極めるポイントは以下の5つです。

  • 「最寄り駅から徒歩5分」といった交通の利便性
  • 周辺施設の状況から見える生活基盤
  • 周囲の賃貸物件の状況から見える需給バランス
  • 人口の多さではなく転入人口で見る街の将来性
  • 地域密着型不動産会社に聞き込み調査して得る地場の情報

それぞれ、詳しく解説していきます。

2-1.「最寄り駅から徒歩5分」「ターミナル駅が近い」などの利便性を見る

立地の利便性を見るときは、最寄り駅の先まで見ることが大切です。

たとえば「最寄り駅は小さく特急も停車しないが、駅から徒歩5分圏内。

2駅先には特急停車駅がある」というケース。

最寄り駅の規模は小さくても駅から近く特急停車駅も近いため、今の家より交通の便が良くなる人もいるでしょう。

また、ターミナル駅の近さも確認しておきたいポイントです。

たとえ最寄り駅の乗降客数が少なくても、その先に規模の大きな特急停車駅やターミナル駅があれば利便性は大きく変わります。

規模の大きな駅から少し離れることで家賃も抑えられるため、家賃を抑えてそこそこの利便性をとる、という人からの需要も見込めるでしょう。

最寄り駅からどのくらいの時間で、どうやったら主要な駅に行けるのか。最寄り駅の先の交通アクセスにも注目してください。

2-2.周辺の施設の状況を見る

スーパーやコンビニ、郵便局、病院、銀行といった周辺施設の状況も要チェックポイントです。

最寄り駅まで近くても、駅周辺にこれらの施設がなければ生活の基盤を整えられません。

通勤・通学における利便性に加えて、生活者の視点で周辺施設の充実度を確認しましょう。

たとえば「最寄り駅の近くには主要な施設がそろっています!」といううたい文句の物件。

よく確認すると、駅の裏側である東口に主要施設が集中していて、よく使うほうの西口は住宅街で施設が少ない、なんてことがあるかもしれません。

地域という大枠を見るのではなく、その立地から見た周辺施設の状況を細かくチェックすることが大切です。

チェックする際は、できる限り実際にその街を歩いてみてください。

「スーパーまで自転車で何分かかるか?」「コンビニは徒歩圏内にあるか?」「仕事帰りに寄れるお店はどれくらいあるのか?」など、入居者の通勤や生活スタイルに適した施設があるか見てみてください。

2-3.乗降客数よりも周囲の賃貸物件の状況を見る

不動産投資では「最寄り駅の乗降客数が一定数あり、人口も多いエリア」が良いとされることがあります。

しかし、それ以上に大切なのは周辺の賃貸物件の状況から見える需給バランスです。

たとえば乗降客数が一定数ある人気の街でも、周辺に新築賃貸物件が多く過剰供給状態になっていれば、その立地での客付けは厳しくなります。

逆に「乗降客数は目立って多いわけではないけれど、駅周辺はファミリーマンションや戸建てが多く、単身者用の賃貸物件が少ない」エリアだと、単身者用の賃貸物件の需要を見込めるでしょう。

このように、駅の利用者や駅周辺の人通りよりも大切なのは需給バランスです。

需要(借り手)に対してどの程度の供給(賃貸物件)数があるのか、周辺の賃貸物件を見て需給バランスを確認しましょう。

賃貸物件を見るときは、あわせて入居率も見ておくと需給バランスを把握しやすいです。

2-4.人口の多さよりも転入人口を見る

エリア選定ではつい人口の多さを見てしまいがちですが、人口よりもその地域の転入者人口と転入超過数に注目しましょう。

転入者とは、その地域に他の地域から移動してきた人を指します。

年々出生数が減少している中で東京都周辺の人口が増えているのは、他都市からの転入者が多いからです。

他地域に出て行く人より入ってくる人=転入者が多い状態を転入超過といい、転入超過数が多い地域は需要がある地域とみることができます。

特にワンルームマンションやアパートは若い単身者をターゲットにしているため、その地域の転入者が多いほど賃貸需要も高くなる傾向にあります。

転入・転出の傾向は総務省が公表している住民基本台帳で確認できるため、立地選びの際はこうした人の流れも確認しておくといいでしょう。

2-5.地域密着型の不動産会社に聞き込みする

ネットを見ているだけでは、その地域特有の情報は手に入りません。

そのため立地について考える際は、地場で強い不動産会社を見つけて情報を得ることが大切です。

ネットにない情報を得るためには、電話や直接訪問といったオフラインでの聞き込みが効果的です。

まずは気になる地域の不動産会社に電話してみて、その地域での物件購入を考えていること、希望する立地や物件の条件を伝えてみてください。

アナログな方法ですし、時間はかかります。しかし地道に相談し続けて信頼できる不動産会社に出会えたら、その地域で優位性のある立地についてのヒントを得られるかもしれません。

土地勘のない人にとっては、こうした不動産会社の情報が非常に頼りになります。複数社に問い合わせてみて、地元ならではの情報を聞き込みしてみてください。

3.立地選びは必ず現地調査を行うこと

いくつかの地域候補を見つけて立地を絞り込むときは、必ず現地調査を行うようにしてください。

現地調査とは、生活者の視点に立ってその地域・街を歩くことです。

最寄り駅まで歩いて何分程度かかるか、歩きやすいか、自転車でも行けるか、駐輪場は十分にあるのか。

スーパーや銀行といった周辺施設までの距離感や町の雰囲気。そして、最寄り駅から規模の大きな駅へのアクセスのよさ。実際に現地へ行ってみなければ、見えてこないことは多いです。

また、ファミリー向け賃貸物件を考えている場合は、周辺道路の広さや公園の数・広さ・ショッピングモールの有無も重要です。

入居者の属性と生活スタイルにあわせて、現地調査をしてみてください。

4.まとめ

先述のとおり日本は人口減少社会であり、首都圏以外は人口が減っていることが通常の状態です。

「人口は減少しても単身世帯は増加しているから、賃貸需要は伸びる」と考える人もいますが、単身世帯のうちおもに増加しているのは中年層・高齢者層。

高齢者は火災リスクや孤独死による事故リスクが高まり、賃貸需要とは違う面でのリスクがあります。

こうした中で今後も一定のキャッシュフローを期待するためには、以下のポイントに気をつけて立地を選ぶことが大切です。

  • 交通の利便性
  • 周辺施設の状況から見える生活基盤の充実度
  • 周囲の賃貸物件の状況から見える需給バランス
  • 転入人口で見る街の将来性や人の流れ
  • 地域密着型の不動産会社から得る地場の情報

なお、立地選びの際は必ず現地に訪れて実際の状況を確認してみてください。実際にその街を歩いてみなおと、見えてこないことは多いです。


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