代替食にフードシェアリングサービス。個人の食卓でできる環境の取り組み

 

この記事の目次

菅首相が「脱炭素社会」を表明して以降、人や環境に優しい社会を目指す動きが活発になっています。

とはいえ、日本は蛇口をひねれば24時間きれいな水が出て、コンビニに行けば24時間食べ物を買える国です。

目先の生活が逼迫しているわけでもないため「環境問題は高尚なもの、お金や時間に余裕のある人が余暇で行うもの」と思う人もいるでしょう。

実は環境問題には、お金や時間に余裕がなくても、誰でも簡単に取り組むことが可能です。

そこで今回は、個人の食卓で手軽に行える環境への取り組みを案内します。

日々の食事と環境問題は密接に関わっています。

この記事を読んで日々の食生活を少し見直すだけでも、環境に優しくできるのです。

「自分でも何かできることはないかな」と思っている人は参考にしてみてください。

1.食と環境は密接に関わっている

環境への取り組みといえば、省エネやプラスチックごみの削減が思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。

毎日使う電気やガソリンといったエネルギー減らしたり、プラスチックごみを減らすためにエコバッグを活用したり。

こうした地道な活動も環境に優しい取り組みの一つです。

実は他にも、日々の生活で無理なく環境問題に取り組む方法があるのをご存じでしょうか。

その方法が、毎日食べる食事の見直しです。

環境省によると、食品の生産から加工、消費までに発生する温室効果ガスの排出量は

・人間活動による排出量の21〜37%を占める

と推定されています。

たとえば地方で生産された食品を都会へ出荷する際には、輸送に使うガソリン自動車や食料を保管する倉庫・設備が必要です。

自動車や倉庫・設備に要するエネルギーがガソリンや一般的な電力であれば、当然温室効果ガスの排出量は増加します。

地域で生産された食品をその地域で食べる仕組みが普及すれば、これらの物流コストや温室効果ガスの排出を防げるでしょう。

地産地消を意識して地元の食品を選ぶことも、環境に優しい取り組みになるのです。

「サステイナブル(=持続可能)な社会を作る」と聞くと、どこか大仰な取り組みに感じるかもしれません。

しかし環境問題で大切なのは、一人でも多くの人が小さな意識を持つことです。

日々の食卓にならぶ食料の選び方や食べ方の意識を変えて、コツコツ続けること。

今の自分にできることから少しずつ取り組んでいけば、持続可能な未来につながるはずです。

これから紹介する取り組みで毎日の食卓を少しずつ見直し、できることから環境負荷を改善していきましょう。

出典:「令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」より「概要」

2.個人の食卓でできる取り組みは2つ

個人の食卓でできる環境に優しい取り組みは、大きく分けて以下の2つです。

  1. 環境に配慮した食品を選ぶ
  2. 食べ残しをなくす。どうしても残す際は必要な人に届ける取り組みやサービスを利用する

毎日の食卓にならぶ食品は生産、加工を経て各地域の市場に流通し、私たち消費者の元に届きます。

当然、その流通過程には多くの自然資源・人的資源が必要となり、資源を消費する中で多くの温室効果ガスを排出します。

温室効果ガスの排出を抑えるためにも、資源の消費を極力抑えた環境や社会に優しい食品を選ぶことが大切です。

たとえば世界最大の外食企業・マクドナルドで利用されている紙容器や紙包装は、自然環境を守るとして国際認証を受けた森林からの生産品を利用しています。

出典:「環境保全」(マクドナルド) 自然資源にも人的資源にも限りがあります。

この先環境や社会が不安定になれば、今までどおり大量の食料を供給するのは難しくなるでしょう。 だからこそマクドナルドのような大企業が「持続可能な食材の調達」をテーマにさまざまな環境への取り組みを行っているのです。

環境に配慮した食品を選ぶことは、未来にわたって豊かな食を得るために必要な取り組みと言えるでしょう。

2の食べ残しをなくすことも重要な環境保護対策の一つです。

まだ食べられるのに捨てられてしまう食品は「食品ロス」と言い、日本で発生する食品ロスは年間600万トンといわれています。

これは日本人一人あたりが毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てている計算です。

また、この食品ロスの約46%は各家庭で発生しています。

食品ロスが増えれば燃えるゴミが増えるため、二酸化炭素の排出量も多くなります。

二酸化炭素の排出量が増えれば当然、地球温暖化も進むでしょう。

そして地球温暖化が原因とされる異常気象が続けば、野菜や魚などの食品価格が高騰することにつながるでしょう。

このように、各家庭の食品ロスは回り回って食品を手に入れにくい環境を生み出します。

地球の資源には限りがある以上、資源を大切に、無駄なく使わなければ持続可能な社会にはなりえません。

1の食品選びも2の食べ残しの抑制も、毎日のちょっとした心がけで変えられます。

まずは毎日の食卓から意識を変えていき、環境問題に取り組んでみてはいかがでしょうか。

3.【取り組み1.】環境に配慮した食材で作られている食品を選ぶ

個人の食卓でできる環境への取り組みの一つ目が、食品選びで環境に配慮する方法です。

食品選びで見るべきポイントは大きく分けて「食材」と「資材」の工夫。

「資材の工夫」といえば、2020年にスタートしたレジ袋有料化があります。

プラスチック製のレジ袋を使わず、持参したエコバッグを使うことも重要な環境対策の一つです。

このほか、近年注目されているのは「食材の工夫」による代替食やプラントベースフードです。

具体的にご紹介していきましょう。

代替食やプラントベースフード

動物由来の肉や乳製品といった食品を、植物由来の食品に置き換えた食品を「代替食」や「プラントベースフード」と言います。

食品を置き換える理由は宗教的なものからヴィーガン、アレルギー除去などさまざま。

近年は動物由来の食品よりも環境に優しく生産・供給できることが時代のニーズに合い、代替食の市場規模は急激に拡大しています。

たとえば大豆が主原料の「大豆ミート」。

高タンパク・低カロリーで健康にも優しく、二酸化炭素の排出量や水資源の使用量は一般的な食肉より少ないとされています。

このように代替食やプラントベースフードは、地球上の限りある資源をできる限り有効に、かつ環境に優しく利用していくための選択肢の一つです。

代替食商品を販売するスーパーや、プラントベースフードの開発に力を入れる食品メーカーも増えてきています。

食品を選ぶ際は、これらの環境に優しい食品・商品も選択肢の一つに入れておきましょう。

4.【取り組み2】食品ロスを防ぐために「捨てない取り組み」を利用

食卓でできるもうひとつの取り組みが、食品ロスの抑制です。

食品ロスを防ぐための基本は食べ残しをなくすこと。

ただ自宅での食べ残しをなくす以外にも、食品ロスを防ぐための取り組みはあります。

ここでは「簡単に食品を捨てない取り組み」として、

  • フードシェアリングサービス
  • フードバンク

の二つをご紹介しましょう。

フードシェアリングサービス・フードバンク

フードシェアリングサービスとフードバンクは、それぞれ食品ロスをなくすための取り組みです。

【安価で食品を手に入れる】フードシェアリングサービスとは

小売店や飲食店の売れ残りや食べ残しなど、食品ロスになる可能性のある食品や商品を必要な消費者に提供する・マッチングさせる仕組みやサービス。

各団体が提供するアプリやWebサイトを通じて、個人でも安価に食品・商品を購入できる

【食品の提供で食品ロスを防ぎながら社会貢献】フードバンクとは

食品ロスになる可能性のある食品や商品を、必要な施設や人に無償で届ける活動。

各家庭内で食べきれない・使い切れない缶詰や保存食をフードバンク団体に寄贈すれば、個人でも活動に参加できる

フードシェアリングサービスは飲食店と個人をつなぐマッチングサービスのような役割で、食品を安価に手に入れやすいのが特徴です。

対してフードバンクは貧困問題の解消が根にあるため、社会奉仕的な役割を持っています。

どちらも食品ロスを防ぐ取り組みではあるものの、個人で利用する際には「購入」か「無償提供」かという違いがあります。 また地域によって、サービスや活動の普及状況もまちまちです。

あらかじめ自分の地域ではどのようなサービス・活動があるのかを確認しておくといいでしょう。

2019年に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律」により、今後、食品ロスを削減するための活動はより盛んになっていくことが予想されます。

今はまだお住まいの地域で目立ったサービスや活動がなくても、今後は増えることが予想されますので、定期的に利用できるものがないかをチェックしてみましょう。

5.まとめ

環境問題はお金や時間に余裕のある人だけがするものではありません。

個人でも毎日の食卓を通じて環境問題に取り組むことは可能です。

取り組みやすい方法は以下の2つ。

・食品選びの際に「環境に優しい食材や資材」を使ったものを意識する

 →代替食やプラントベースフードを取り入れてみる

・毎日の食卓で食品ロスを出さない

 →食品ロスを防ぐサービスや活動もうまく利用する

大手スーパーでも大豆ミートを始めとした環境にも体にも優しい代替食を販売しています。

地域によってはフードシェアリングサービスアプリの利用により、近くの飲食店から安く食品を購入できます。

日々欠かせない「食べること」を考えるとき、こうした行動を意識するだけでも、環境に配慮して持続可能な未来を作ることにつながります。 まずは毎日の食卓でできることから始めてみてはいかがでしょうか。


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