不動産投資の初心者が失敗しやすいポイントとは?

 

この記事の目次

不動産投資は、サラリーマンが副収入を得る手段として人気を集めていますが、株式などへの投資と比較して非常に複雑です。

不動産投資の初心者は失敗しやすいポイントを事前に理解しておくことが不可欠です。

この記事では、不動産投資の初心者が、知っておくべき基礎知識や注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 不動産投資の初心者が失敗しやすいのは、不動産の選定、収支計画、不動産管理の3つ
  • 初心者が不動産投資を始める前に、不動産に関する法律、収支計算の方法などを習得すべき
  • 実物の不動産に投資する自信がなければ、不動産投資ファンドへの投資も一つの選択肢

1.不動産投資の初心者が失敗しやすい3つのポイント

不動産投資の初心者が失敗しがちなポイントを、次の3点にわけて説明します。

  • 投資する不動産の選定
  • 収支計画
  • 不動産管理

1-1.不動産の選定を誤る

不動産投資の仕組みをシンプルに表現すると、「保有している不動産を人に貸して賃料を受け取る」ということです。したがって、不動産の選定によって投資の成功・不成功が決まるといっても過言ではありません。

初心者が不動産投資で失敗しがちなのが、投資する不動産の選定を間違えることです。 たとえば、不動産投資家向けの収益物件を扱っている不動産会社は、広告に「利回り〇%」などと表記しています。

不動産投資の初心者によくある失敗は、単純に利回りが高い物件を購入すればうまくいくと考えてしまうことです。

一般的に、不動産投資の利回りが高いことは、不動産の価格が低いことを意味します。重要なのは「なぜ」不動産の価格が低いのかという「理由」です。

多くの場合、最寄り駅から遠かったり、築古物件だったり、賃借人の決まりにくい物件であることが理由です。

不動産投資では、賃借人が決まらなければ賃料収入は投資家の手元には入りません。

ローンの返済や税金など一定の支出は賃料収入が入るか否かに関わらず発生しますので、賃借人が決まらない物件を購入すると、すぐに手元資金が尽きてしまうことになりかねません。

また価格の低い不動産は、建物に排水管の不良などの欠陥があることもあります。とくに、築年数が経過している建物の場合には、配管のトラブルが付きものです。

このようなトラブルが購入後に発生した場合には補修費用がかかりますので、不動産をいくら安く購入できたとしても、最終的な支出額が当初の想定以上にふくらむ可能性があります。

個人の売主と不動産売買契約を締結する場合は、「あとから欠陥が発覚したときの売主責任」を免除することが契約の条件となっていることが少なくありません。

このほか、築古物件は建物が現行の建築基準法に適合しない「違法建築」であることもあります。

建築基準法は頻繁な改正があるため、建築した当時は建築基準法にしたがって建設された建物であっても、現時点での法律に照らすと違法である「既存不適格」といわれる状況が発生します。

このような物件の場合には、賃貸借契約をする際に賃借人にその旨を伝えなければならないこともあります。

また建築基準法との関係では1981年6月1日以降の建築確認に適用されている「新耐震基準」に従った建物であるかも重要です。

新耐震基準適用前に建築された建物(旧耐震)は、耐震性に不安があるとして賃借人が決まりにくいこともあるでしょう。

さらに、その土地が、「道路付け」と呼ばれる建築基準法上の接道義務を満たしているかが極めて重要です。

接道義務を満たしていない場合、そのままの建物は利用できても、建て替えはできません。

以上のように、不動産投資で購入する不動産を選定する際に「安くてお得」と思われる不動産があった場合には、「なぜ」その不動産は安いのかを考える必要があります。

そして、不動産が安い理由を知るためには、上で説明したような不動産に関連する知識が必要となります。ここに、初心者が不動産投資を始めることの難しさがあります。

1-2.不動産投資の収支計画が甘い

初心者が不動産投資で失敗しがちなことに、収支計画の甘さがあります。

不動産業者から投資用物件を紹介してもらう場合には、その業者が提示する利回りをそのまま信用するのではなく、必ず自分自身で計算をする必要があるでしょう。

不動産業者の提示している利回りは、必要経費や税金等を考慮しない「表面利回り」であることが通常です。また、利回りの算定の基礎となる賃料収入を相場より多く見積もっている可能性もあります。

不動産投資をするために収支計画を立てる際には、以下の費用を含めた保守的な見積もりが必要です。

  • 不動産管理を外部委託する場合の費用
  • 賃借人の募集にかかる費用
  • 各種税金などの支払い
  • 不動産投資用ローンの返済
  • 修繕費用

また賃料収入は、不動産の購入を検討する段階で満室であれば、比較的計算しやすいですが、そうではない場合、どの程度の賃料であれば空き室が埋まるかを周辺相場などから十分に検討しておく必要があります。

このほか、建物の経年劣化により賃料は年々下落しますので、長期保有を前提とした不動産投資を検討する場合には、将来どの程度賃料が下落する可能性があるのかも想定しておく必要があるでしょう。

特に不動産投資用のローンを利用する場合には、賃料が下落しても毎月一定額の返済が続くことになるため、慎重に検討すべきです。

なお、経年劣化による賃料下落をくいとめるために、大規模修繕が必要になります。将来の大規模修繕や、建物の価値を高めるための資本的支出を組み込んで長期的な収支計画を立てましょう。

1-3.不動産管理を管理会社に任せきりにする

サラリーマンが副収入を得るための手段として不動産投資をする場合に起こりがちなのが、不動産の管理を管理会社に任せきりにすることです。

サラリーマンは、専業の不動産投資家と比べると不動産管理に時間を割けないため、管理業務の一部を業者に委託せざるを得ないことは、たしかにあります。

たとえば、鍵の故障や漏水など緊急対応が必要な業務に関しては外部委託することが考えられます。

しかし、賃借人の募集から契約、日常的な賃借人への対応などのすべてを不動産管理会社に委託すると、管理費用が高額になるため収益を大きく圧迫するおそれがあります。

不動産管理など手間のかかる業務を負担せず純粋に収益だけを手に入れたい場合には、むしろ不動産投資ファンドに投資した方がよいことがあるでしょう。

不動産会社が物件の管理や賃借人の募集まで一括で受託するという場合、いわゆる「サブリース」であるケースもあります。

サブリースに関しては、「かぼちゃの馬車」というシェアハウスを舞台にした事件がありました。不動産投資の初心者が多く巻き込まれた事件でもありますので注意が必要です。

2.初心者が知っておくべき不動産投資の知識

初心者が不動産投資をする前に知っておくべき基礎知識について、説明します。

ここで説明すること以外にも、投資を検討する段階でわからないことが発生したら十分に調べてから、投資すべきか判断することが大切です。

2-1.不動産そのものに関する知識

不動産そのものに関しては、すでに説明したような知識のほかに不動産の立地(エリア)選定や、不動産のタイプごとの特徴などを理解しておくことが有用です。

以下の記事では、不動産投資にあたって検討すべきリスクについて詳細に解説しています。

2-2.不動産売買契約に関する知識

実際に購入したい不動産が決まったら、売主との間で不動産売買契約を締結します。不動産売買契約は、次のような流れで進みます。

気に入った不動産があったら、まずは売主に「買付証明書」を提出することが一般的な流れです。

買付証明書では不動産の購入希望価格を提示することができ、買付証明書を受け取った売主にも売却の意向がある場合には、売主は買主候補者に対して「売渡承諾書」を提出します。

買付証明書と売渡承諾書は、原則として法的な効力が発生しません。

売主と買主の双方が買付証明や売渡承諾によって不動産売買の意向を示した後に、正式な売買契約書を締結することで初めて法的な効力が発生します。

不動産売買契約を締結してすぐに不動産を引き渡すことはあまりなく、契約日からおおむね1か月以内に不動産の引渡日が定められ、不動産の引渡日に代金の支払いや所有権移転登記申請が行われます。

不動産売買契約では、不動産の購入代金以外に登記費用、登録免許税、仲介手数料などが必要となるため、費用の工面については事前によく検討しておく必要があるでしょう。

2-3.不動産賃貸借契約に関する知識

不動産投資においては、不動産を購入した後に賃借人を募集して賃貸借契約を締結する必要があります。賃借人を募集する場合には仲介業者に依頼することが一般的です。

人気がなく空き室が埋まりにくい物件の場合、「広告料」などの名目で仲介会社から仲介手数料以外の費用を請求されることがあります。

内容によっては宅地建物取引業法が定める仲介手数料の上限規定に抵触する可能性もありますし、仮に適法であっても不動産投資家にとっては想定外の費用負担となるため、注意が必要です。

2-2.不動産投資にライセンスが必要か?

不動産投資家に「ライセンスが必要か」という論点があります。

宅地建物取引業法では不動産賃貸業(大家業)、すなわちインカムゲインの取得に関して、免許は不要とされていますが、キャピタルゲイン狙いの不動産売買業に関しては免許が必要です。

したがって、短期間に不動産売買を複数回行う場合には「業」として行っているものとみなされて、免許なく売買すると違法となるおそれがあります。

現時点では監督官庁による取り締まりは、ほとんど行われていないようですが、不動産の買い手が上場企業などである場合には、宅建業法違反の懸念があるとして取引を断られることがあります。

3.まとめ

まったくの初心者から不動産投資を始めて成功している投資家もたくさんいます。

このため、初心者だから不動産投資に失敗するというわけではありません。ただし、事前に不動産投資に必要となる基礎知識はしっかり勉強した上で、慎重に始めた方が良いことは間違いありません。

不動産に関するさまざまな知識を勉強することや、不動産の管理を手間に感じる場合には、実物の不動産に投資をするよりも不動産投資ファンドに投資した方がよいことがあります。

不動産投資ファンドへの投資は、資金を出すだけでよく、不動産の管理などを投資家が行う必要がありません。

もっとも、不動産投資ファンドは投資対象やスキームによって、リスクの程度もさまざまです。したがって、投資ファンドへ投資する際には事前に投資の内容をよく検討することが大切です。


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