不動産投資とは?メリット・デメリットやリスクの具体例と対策・対処法を解説

 

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実物不動産への投資は、従前から人気がある投資手法です。投資対象となる不動産にもさまざまなタイプがありますので、投資家の資金力や方針に応じて対象を選定できるのも人気の理由といえるでしょう。もっとも、不動産投資も当然ながらリスクがあります。そこで、不動産投資の主なリスクとその対処法などについて解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 不動産投資の投資対象は、住宅・オフィスビル・商業施設・物流施設・ホテルなど幅広い
  • 不動産投資による収益は、運用益(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)がある
  • 不動産投資は、空き室や賃料下落に伴うリスクがあるため事前に対処をしておく必要がある

1.不動産投資とは

不動産投資とは、文字どおり不動産の運用により収益を得る投資方法です。以下では、不動産投資にまつわる基礎知識を解説します。

1-1.不動産投資の手法

不動産投資の手法としては、以下の2つがあります。

  • 現物不動産を直接保有するもの
  • 投資ファンドを通じて投資するもの

2つ目の投資ファンドを通じて不動産投資をする場合、投資家は投資ファンドに対して出資をするだけであり、現実に不動産を運用するのは投資ファンドです。投資ファンドを通じた不動産投資では、投資家は投資ファンドの発行する有価証券を取得することになります。不動産投資ファンドへの投資として一番有名なのは、J-REIT(不動産投資信託)です。J-REITの他に不動産小口化投資商品や不動産クラウドファンディングという投資手法もあります。

これに対し、1つ目の現物不動産を直接保有するケースでは、投資家自身が不動産を選定して取得します。その上で、基本的には取得した不動産を賃貸することで投資家が利益を得ることが予定されています。また、不動産市況によっては不動産を売却することもあるでしょう。

関連記事J-REIT(不動産投資信託)と実物不動産投資の違いとは?それぞれの投資に向いているのはこんな人ではJ-REITと実物不動産投資の違いを解説しています。
また不動産の小口投資とは?仕組みやメリット・デメリットについてまとめてみましたでは不動産小口化投資商品の仕組みをくわしく解説しています。
不動産クラウドファンディングとは?仕組みやリスクについて解説では不動産クラウドファンディングについてくわしく解説していますので興味がある方はあわせてお読みください。

以下では、2つの不動産投資の手法のうち、投資家が現物不動産を直接保有する場合について解説します。

2.不動産投資の投資対象

不動産投資とひとことで言っても、投資対象はさまざまです。不動産投資の投資対象をアセットタイプと呼びますが、アセットタイプごとに特徴や想定すべきリスクが異なります。これをまとめたのが以下の表です。

アセットタイプ 特徴 リスク
住宅(一棟買い) 合理的な管理が可能 分散投資によるリスク回避に限界がある
住宅(ワンルーム) 少額から投資が可能であり、リスク分散も容易 管理組合により収益性が左右される
オフィスビル オフィスのグレードによって入居者層が異なる 景気変動の影響を受けやすい
商業施設 都市型商業施設や郊外型ショッピングセンターなどさまざまなタイプがある 変動賃料の場合はテナントの売上の影響を受ける
物流施設 郊外に建設されやすく、安定的な運用が可能 近隣に同種の施設が建設されると稼働率が低下することも
ホテル 観光ホテルは収益力が高いが、運営業者の力量にも左右される 景気変動、災害等により収益が大きく下落する
ヘルスケア施設 高齢者向け住宅・老人ホームへの投資が注目され始めている 人の生命身体の安全にかかわるため慎重な運営が必要

住宅とオフィスビルは伝統的に不動産投資の対象とされてきたものです。これに加え、商業施設や物流施設についても大手デベロッパーなどを中心として不動産投資の対象とされてきました。一方、ホテルやヘルスケア施設は、近年、不動産投資の対象として認知され始めたものです。

2-1.住宅(レジデンス)

住宅(レジデンス)は、人が居住することを目的とした不動産です。住宅への不動産投資は、マンションやアパートの一棟全体に投資する方法ワンルームなど区分所有マンションの1部屋のみに投資する方法の2つに大きく分けることができます。

住宅は人の生活基盤として利用するものであることから、景気が悪くなったからといってすぐに退去するということにはなりにくい特徴があります。したがって、住宅への投資は景気変動の影響を受けにくく安定した投資が可能になるでしょう。

ただし、高級賃貸マンションは、外資系企業が駐在員のために借り上げていたり、企業のオーナーが入居していることが多いため、例外的に景気変動の影響を受けやすいことが指摘されています。

また、住宅への不動産投資による固有のリスクとしては、入居者とのトラブル対応の必要性が他の不動産と比較して大きいことが挙げられます。例えば、入居者の賃料滞納や夜逃げのほか、騒音問題など入居者同士のトラブルも発生することがあり、管理の手間がかかる傾向にあるのです。

一棟買い

マンションの建物全体を所有する一棟買いの場合、ワンルームマンション投資と比較して管理の手間を減らせるでしょう。また、一棟全体を所有することで、管理業者の選定や修繕などについて所有者が単独で意思決定できるため、収益性を向上させるための施策を行いやすいという特徴があります。

なお一棟所有の場合には、建物だけでなく土地も所有することになります。これにより、マンションが老朽化した場合に更地にして土地だけを売却したり、更地に新たにマンションを建設するなど、不動産投資の出口戦略としての選択肢が多いことも魅力的です。

他方、一棟所有は、ワンルームマンション投資と比べて分散投資に限界があります。例えば、一棟で所有しているマンションの近隣に大きなビルが建設され日照が阻害されたような場合、収益が一度に低下するリスクがあるのです。

さらに、一棟のマンションを取得するためには、立地にもよりますが億単位の資金額必要となります。このため、そもそも一棟買いによる不動産投資ができる投資家が限られており、個人での参入は容易ではありません。

ワンルーム

ワンルーム投資は、区分所有マンション内の一部の部屋を取得するものです。一棟買いと比較して、少ない資金でも不動産投資が始められるため、会社員などがまず検討するのがワンルームマンション投資でしょう。

また、資金がある場合でも立地等の条件が異なる複数のマンションにワンルーム投資することでリスクを分散することもできます。

ただし、マンションの管理に関して意思決定するのは管理組合であることに注意する必要があるでしょう。組合は、各部屋の区分所有者によって構成される組合であり、マンションの維持管理や運営についての意思決定を行います。このため、共用部分の修繕をして自分の有するワンルームの収益性を向上させたいと考えたとしても実現が難しいことがあるのです。

2-2.オフィスビル

オフィスビルとは、人が働く場所として企業などの事業者に賃貸される不動産です。オフィスビルは、設備や立地等のグレードに応じてAクラスビルとBクラスビルといった種類があります。

Aクラスビルは、東京都心などオフィスの立地として人気のあるエリアに所在し、オフィス自体も最新の設備が設置されているものです。賃料単価は非常に高いので、入居する企業は資金力のある大手企業に限定されます。

Aクラスビルは、入居者の属性が良いため稼働率さえ高ければ安定的な運用が可能ですが、建物自体の取得や維持にかかるコストも大きいため、運用利回りはそれほど大きくありません。また、借り手が限定されるため、景気後退局面で稼働率が下がった場合には新たな借り手を見つけることが容易ではないでしょう。

他方、Bクラスビルは、Aクラスビルと比較して建物の規模が小さく、立地や設備のグレードもそこまで高くはないビルです。Bクラスビルの入居者は中小企業がメインで、Aクラスビルと比べて借り手となり得る事業者数が多いため、新たな入居者が見つかりやすいといえます。

オフィスビルへの投資におけるリスクは、何といっても景気変動の影響を受けやすい点です。もっとも、景気が良い時期には賃料増額交渉も進めやすいため、リスクとリターンは表裏一体です。

2-3.商業施設

商業施設とは、商品やサービスを提供する店舗として利用される不動産です。商業施設は、郊外にあるような大型のショッピングセンターが代表的ですが、駅ビルのような都市型商業施設もあります。

商業施設は、賃料の定め方に特徴があるのです。住宅やオフィスビルのような固定賃料だけではなく、テナントの売上に連動する変動賃料であることも多いようです。また、固定賃料を原則としつつ、売上が基準額以上となった場合に変動賃料を上乗せするという併用型もあります。

商業施設は、特に郊外型の場合には景気変動の影響は大きくなく、安定した運用が可能です。もっとも、変動賃料を採用している場合には、テナントの売上減少の影響をダイレクトに受けるリスクがあります。

2-4.物流施設

物流施設とは、商品などを保管する場所として利用される倉庫などの不動産です。近年、インターネット通販が盛んになったこともあり、販売用の商品を保管しておく場所として物流施設の需要が高まっています。

物流施設は、大型トラックで商品を出入庫する必要があることから、広い敷地が確保でき、また高速道路の出入口にも近い郊外に建設されることが通常です。物流施設は、不動産投資の対象となるアセットの中では一番安定的な投資が可能であるといわれています。また、現時点では需要が供給を上回っていることから、大手企業を中心に物流施設への投資への参入が増えているのです。

もっとも、物流施設への投資に関しては、建設に適した条件の土地を確保することが難しくなりつつあります。また、他の物流施設との差別化が他のアセットと比べて難しいため、近隣に最新の設備を兼ね備えた新しい物流施設が建設されると、すぐにテナントが新しい物流施設に流れてしまうリスクがあります。

2-5.ホテル

近年、多くの外国人観光客が訪日するようになったため、ホテルに対する不動産投資の収益性の高さが注目されるようになっています。

ホテルは、典型的なオペレーショナルアセットであり、運営業者(オペレーター)の力量が収益性に大きな影響をもたらします。また、商業施設と同様に、売上に連動する変動賃料となっていることが通常です。

他方、特に観光客向けのホテルは景気変動の影響を極めて強く受けるといわれています。観光は娯楽の一つであり、景気後退局面では真っ先に削られる支出であるためです。

また、災害による影響も深刻です。震災や水害などの災害が起きた地域のホテルは、先の予約がすべてキャンセルされることも珍しくなく、このような事態が生じた場合に売上が突然ゼロになるリスクを想定して投資する必要があります。

2-6.ヘルスケア施設

ヘルスケア施設とは、老人ホーム、高齢者向け住宅、病院など人の健康や医療に関わる施設です。ヘルスケア施設は、人の生命や身体の安全にかかわります。

このため、ヘルスケア施設への投資に関しては、国土交通省がガイドラインを出しており、運営業者の選定その他の管理体制の整備について通常の不動産投資よりも慎重な取り組みが求められているのです。

3.不動産投資による収益

不動産投資による収益は、主に賃料収入による運用益(インカムゲイン)と不動産の売却益(キャピタルゲイン)の2つの側面があります。

このうち不動産投資では運用益(インカムゲイン)に重きが置かれています。運用益を算定する場合には、不動産を使用できる状態に維持するためのコスト(修繕費等)を想定して計画しておくことが重要です。また、不動産は築年数を経るに従い賃料が低下することが通常ですので、長期的な運用を考えている場合にはこの点も考慮が必要です。

不動産投資における売却益(キャピタルゲイン)とは、売却価格から売却にかかるコストを差し引いて算出される売却額と、取得価格及びその際の取得コストを合算した投資額の差額のことです。すなわち、売却額が投資額を上回っているときに不動産投資家は売却益(キャピタルゲイン)を取得できるのです。

3-1.不動産投資の利回り

不動産投資の利回りとは、不動産からの収入等を不動産の取得価格で割ったものです。もっとも、分子となる収入等をどのように算定するかによって、表面利回り(グロス利回り)、実質利回り(ネット利回り)などがあります。利回りの種類と内容については、以下の記事で詳細に解説しています。

関連記事利回りとは?不動産投資や太陽光発電投資の表面利回りと実質利回りの違いを解説では不動産投資の表面利回りと実質利回りの考え方や計算方法をくわしく解説しています。

4.不動産投資のメリット・デメリット

不動産投資には以下のようにメリット・デメリットがあります。

不動産投資のメリット 不動産投資のデメリット
投資方針の自由度が高い 物件選定の難度が高い
出口戦略の選択肢が豊富 収益予測が立てづらい
融資を利用して投資できる 人口は減少傾向にある

4-1.不動産投資のメリット

不動産投資は上で説明したように、投資対象となるアセットの幅が広く、また立地その他の条件もさまざま。したがって、選択の自由度が高く投資方針に合わせた不動産投資が可能になるのです。

また、マンションなどを一棟買いする場合には、建物が劣化しても土地のみで売却するなど出口戦略の選択肢が豊富であることも、すでに説明した通りです。

4-2.不動産投資のデメリット

不動産投資は物件の個別性が高く、物件選定の難易度が高い傾向にあります。また、不動産投資による収益は景気変動などの影響を受けることもあるため、将来の収益予測が難しいといえるでしょう。このほか、日本では、投資対象である住居やオフィスビルに入居する人口自体が減少傾向にあるため先行きが不透明であることも指摘されています。

もっとも、不動産投資は目新しい投資手法ではないためデメリットはすでに明確になっています。したがって、デメリットを踏まえた投資をすれば足りるため、あまり気にする必要はありません。それよりも、不動産投資前に十分な対策を練っておく必要があるのは、次に説明する不動産投資の4つのリスクです。

5.不動産投資の主なリスク

リスクはこれらに限定されるわけではありませんが、ここでは、投資を始めるまえに確認すべき、不動産投資にまつわる主な4つのリスクを解説します。

5-1.空き室リスク

不動産投資では、稼働率が低下することにより運用益を得られないリスクがあります。また、アセットタイプにもよりますが、景気変動によって空き室が増減します。

5-2.物件管理上のリスク

住居やオフィスビルを投資対象とする場合、入居者の賃料滞納などが発生するため管理の手間が必要です。このほか、建物内で人身事故が発生すると、いわゆる事故物件(心理的瑕疵)として物件価値や収益性が大きく下落することがあります。

5-3.賃料下落リスク

不動産投資の収益の源泉が賃借人や消費者である以上、多かれ少なかれ景気変動や経年劣化により賃料収入が低下するリスクがあります。金融機関から長期間にわたる融資を受けている場合には、賃料下落により返済が滞るリスクもあるでしょう。

5-4.不動産価値下落リスク

一般的に都心の一等地は不動産価格が大きく下落しにくいとされますが、エリアによっては再開発の有無や人気度に応じて不動産価格が変動するリスクがあります。このリスクは投資期間が長い場合に顕在化しやすいといえるでしょう。

6.不動産投資のリスクの対処法

これまで主なリスクを4つ説明しました。リスクがすべてなくなるわけではありませんが、これらのリスクには有効な対策が存在します。

不動産投資にともなうリスク 代表的なリスクの対処法
空き室リスク 優位性のある物件選定
物件管理上のリスク 入居時の審査
賃料下落リスクへ 大規模修繕の実施
不動産価値下落リスク 再開発計画等の確認

6-1.空き室リスクへの対策

空き室リスクを回避するためには、立地などの優位性のある物件を選定することが最重要です。また、物件の取得後も内装などに配慮し、優位性を高める工夫が欠かせません。

空き家リスクへの対策として、以前はサブリースが利用されることがありました。もっとも、サブリースについては、かぼちゃの馬車事件などで社会問題化したことを受けて、これを規制する法律が成立しています。

関連記事サブリースの法的問題と規制法とは?弁護士がわかりやすく解説ではサブリースの問題点と制定される規制法についてくわしく解説しています。

6-2.物件管理上のリスクへの対策

物件管理上のトラブルの頻度は入居者の属性に大きく左右されます。このため、入居時の審査は重要です。家賃保証会社を必須とすると、保証会社が信用情報の照会をするため賃料滞納リスクは避けやすくなるでしょう。

6-3.賃料下落リスクへの対策

経年劣化による賃料下落については、修繕だけでなく建物価値を上げるような大規模修繕(資本的支出)を計画することが重要です。長期的な投資をする場合には、資本的支出をあらかじめ想定した投資計画を立てることが必要です。

6-4.不動産価値下落リスクへの対策

再開発等の計画は公表されていますので、物件取得時には周辺エリアの再開発等の計画を事前に確認しておく必要があります。

7.まとめ

不動産投資におけるリスクの多くは、不動産自体が人の生活や事業活動に利用されることによって収益が上がる性質の資産であることに起因します。したがって、不動産投資においてリスクを回避するためには、景気変動やエリアの人気度などを含めた「人の動き」を注視しながら投資をすることが必要となるでしょう。


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