ワンルーム投資で気を付けることとは?想定すべきリスクについて解説

 

この記事の目次

ワンルームマンション投資はサラリーマンを中心に根強い人気があるようです。ワンルームマンションを専門的に販売する不動産業者も複数あり、購入の勧誘を受けたことのある人も多いのではないでしょうか。

そこで、ワンルームマンション投資の特徴や、ワンルームマンション投資におけるリスクについて詳しく解説します。

どのような投資においてもいえることですが、投資判断の前に投資対象の持つリスクを十分に検討しておくことが大切です。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • ワンルーム投資は比較的少ない金額で不動産投資を始められるため会社員を中心に広がった
  • 新築ワンルームの投資は利回りや収益性が低くなりやすい
  • ワンルームマンション投資に住宅ローンを利用する手法は違法なので注意

1.ワンルームマンション投資とは

ワンルームマンション投資とは、マンションの区分(部屋)を購入して賃料収入を得る投資方法をいいます。

同じく住宅を投資対象とするマンションなどの一棟買いと比較しつつ、ワンルームマンション投資の特徴について説明します。

1-1.ワンルームマンション投資の特徴

ワンルームマンション投資の特徴は、不動産投資としては比較的少ない資金で投資を始められる点があげられます。

東京23区内など不動産投資家に人気のあるエリアだと、マンションやアパート一棟を購入するためには1億円以上の投資が必要となることがあります。

これに対し、ワンルームであれば立地が良く築浅の物件でも2000万円前後で購入することも可能です。

また、都市部などのように単身者の割合が多いエリアであるとか、主要駅に近いなどといった立地上の優位性があれば、ワンルームの賃貸需要は手堅いため、安定した収入源となり得ます。

このほか、ワンルームであれば将来的に不動産投資家自身の居住用に転用することもできます。

このような理由から、ワンルームマンション投資は、初めて不動産投資をする個人が投資対象として選択しやすいといわれているのです。

1-2.一棟買いとの違い

一棟買いと比較すると、ワンルームマンション投資では共用部分の管理などを投資家自身が行う必要はなくその分の手間はかかりません。

もっとも、その反面として、共用部分の修繕や共用部分の管理費の圧縮などといった、収益性を向上させるための施策がとりにくいというデメリットがあります。

また、前述のとおり一棟買いの場合には1億円を超える資金が必要となることがあります。このため、一棟買いをする場合には余程の資金力がないと分散投資のために複数物件を購入することができません。

これに対し、ワンルームマンション投資であれば、一部屋の投資に要する資金がそこまで多くはないため、異なるエリアのマンションの区分を複数所有することによる分散投資が可能です。

ワンルーム投資 一棟買い
共用部分の管理が不要 共用部分を含めた管理が必要
共用部分の管理方法を変更できない 共用部分を含めて収益性を上げるための施策がとりやすい
複数物件購入による分散投資がしやすい 分散投資には相当の資金力が必要

ワンルームマンションと一棟買いの比較に関しては、以下の関連記事でも詳細に解説しています。

2.ワンルームマンション投資の注意点

ここまでの話だとワンルームマンション投資は投資対象として非常に魅力的に思えるかもしれません。

しかし、ワンルームマンション投資については数々のリスクが存在します。

以下では、ワンルームマンションへの投資で想定すべきリスクについて説明します。

2-1.価値下落リスクを想定する

ワンルームに限らず不動産全般にいえることですが、建物は経年により価値が下落します。

購入価格が相場より大幅に安かったとか、たまたま相場より高く売却できたというような例外的なケースでない限り、ワンルームの売却価格は購入価格を下回ることが一般的です。

特に、投資用のワンルームマンションは新築で用意されることが多いですが、新築を購入した場合には運用期間中の不動産価値の下落幅が大きくなりやすいことは知っておく必要があります。

新築マンションの販売価格には新築であることのプレミアムが乗っていることが通常であるためです。

このため、せっかくワンルームマンションを購入して賃料収入を得たとしても、購入価格から売却価格を差し引いた差額が運用期間中の賃料による収益を上回ってしまうのであれば、不動産投資のトータルの収益としてはマイナスになってしまいます。

また、そもそも建物自体が経年劣化により価値が低下することに加え、築年数の経過した物件自体を避ける入居者が一定数存在するため、成約賃料はワンルーム購入時から徐々に下落していく可能性があります。

一棟買いであれば大規模修繕などにより賃料の下落を回避できるケースもありますが、ワンルームの場合には所有者が単独で建物価値を維持するような施策を行うことができないため、一棟買いと比較しても賃料の下落リスクは高いと考えておいた方がよいでしょう。

したがって、ワンルームマンション投資を行う場合には、長期的には購入時の賃料収入や利回りを維持できない可能性が高いことを視野に入れて保守的な計画を立てておく必要があります。

2-2.賃料収入から差し引かれる費用がある

ワンルームマンション投資では、当然ながら賃料収入をそのまま不動産投資家が手に入れられるわけではありません。

賃料収入からローンの返済額、各種の税金、管理費用、修繕積立金、保険料などを差し引く必要があり、残りが不動産投資家の手取りとなります。

税金などは事前に十分に確認しておかないと、想定外に支出が膨らみ投資家が想定するよりも手取り額が少なくなることがあります。

特にローンを組んで不動産投資をする場合には、わずかな収支計画の誤りにより破綻するリスクがありますので注意が必要です。

ワンルームマンション投資を扱う不動産業者は利回りを提示していることがありますが、多くの場合に「表面利回り」である点にも注意が必要です。

表面利回りは、賃料収入から差し引かれる経費や税金が加味されていない利回りであるため、これのみを手掛かりに投資判断をするべきではありません。

ワンルームの購入を検討する場合は、自分自身で収支のシミュレーションを詳細に行うことが必要です。

2-3.管理の手間がかかる

ワンルームマンション投資では、ワンルームを購入したら自動的に賃料が手に入るわけではありません。

不動産を賃貸に回す場合には、入居者募集、賃貸借契約の手続、賃料滞納への対応、入居者と他の入居者のトラブルへの対応、苦情対応などが必要となります。

管理会社にすべての管理を委託することもできますが、その場合には管理会社へ支払う委託料分のコストがかかりますので利回りに大きく影響します。

一方で、不動産投資を専業でやるわけではない会社員などの場合には、すべての管理を自分で行うことは大きな負担となるのも事実です。

また、不動産投資をする場合には、事業としての経理処理や税務申告などを投資家自身が行う必要があります。

税理士に委託することは可能ですが、これもコストの増大につながります。

したがって、ワンルームマンション投資をする際には賃貸に伴う手間のうち、管理会社や税理士など外部に委託するものと投資家自身が対応するものを事前に十分に検討しておく必要があります。

また、賃貸に伴う手続を外部に委託する場合には、その分のコストを含めて収支計画を立てる必要があります。

2-4.空き室リスクに注意

空き室リスクとは、ワンルームの入居者が退去した後に次に入居者が決まるまでの間、賃料収入を得られないことを意味します。

すぐに入居者が決まれば、それほど大きな影響はないかもしれませんが、数か月にわたり空き室となる場合には、ローンの返済が滞るリスクがあるため投資家にとっては死活問題です。

ワンルーム投資は、常に空き室リスクと隣り合わせです。

オフィスビルやファミリータイプの住宅など他の投資対象と比較して、単身者が対象となるワンルームでは入居者の退去が起こりやすいためです。

空き室リスクを最小化するためには、空き室が長期化しないような優位性のある物件に投資することも重要です。

ワンルームの場合には、都会で働く単身者が入居者のターゲットとなるため、若者に人気のあるエリアであることや最寄駅からの距離が近いなどといった利便性がワンルームの稼働率を左右するポイントとなります。

もっとも、立地に優位性があるワンルームマンションは購入価格が高いため、利回りが低くなる傾向にあることも理解しておく必要はあるでしょう。

また、ワンルームマンションを購入する前に、空き室が一定期間発生しても余裕をもってローンの返済ができるような保守的な計画を立てておくことも重要です。

空き家リスクへの対策として、サブリースが利用されることがあります。

サブリースについては、かぼちゃの馬車事件などで社会問題化したことを受けて、これを規制する法律が成立しています。

2-5.住宅ローンの利用はNG

ワンルームマンション投資で気を付けなければならないのは、住宅ローンを利用してワンルームを購入する手法です。

フラット35など住宅ローンの金利は、不動産投資に適用される通常の事業用ローンと比較して低金利です。

このため、金融機関に対して不動産投資を目的としていることを隠して、居住用として住宅ローンの融資を受けてワンルーム投資をする事例があるようです。

実際に、2019年から2020年にかけて、住宅ローンのフラット35を提供する住宅金融支援機構はフラット35を不動産投資に不正利用した事例があったことを公表しています。

この不正利用事例では、不動産業者が不動産投資家に対して住宅ローンを利用した不動産投資を積極的にあっせんしていたとも指摘されています。

また、インターネット上などで不動産投資家と称して活動している人たちの中に、住宅ローンを不動産投資に利用することを暗にすすめる人もいたといわれています。

しかし、住宅ローンを不動産投資に利用することは明確に違法です。金融機関が融資を行う場合には、資金使途が契約上定められます。

したがって、融資を受けた資金を資金使途に定められた以外の目的に利用することは契約違反となるのです。

金融機関との間で契約違反となる場合には、ローンの一括返済を求められるリスクがあります。

不動産投資の場合には、元金だけでも数千万円となることが珍しくありませんので、一括返済ができる人はそう多くはありません。この場合には、不動産投資家は自己破産を余儀なくされることになります。

また、最初から不動産投資の資金とする目的で住宅ローンを組んだ場合には、金融機関に対する詐欺罪に問われることもあります。

詐欺罪は法定刑が10年以下の懲役と定められており、刑罰の内容としてはそれなりに重いものです。

不動産業者が住宅ローンの不正利用を積極的に勧めてきたとの事情がある場合でも、それを利用してしまった投資家本人が法的な責任を負うことになるため注意が必要です。

3.まとめ

ワンルーム投資は、不動産投資の初心者向けに販売されることが多いようです。

確かに、不動産投資としては少ない資金から投資を始められるため、心理的なハードルが低いという面はあるでしょう。

ただし、今回取り上げたように不動産投資としてはリスクが高く、また収益性も低いことが多いことも指摘されていますので、慎重な検討が必要です。

少額で不動産投資を行いたい場合には、J-REITや不動産クラウドファンディング、その他非上場の不動産投資ファンドなどに投資するといった選択肢もあります。

投資対象のリスクを十分に理解した上で、自分に合った投資商品を幅広く検討するとよいでしょう。


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