【インカム投資家必見】ソーシャルレンディングとは? 投資経験者が簡単に解説

 

この記事の目次

インカムゲインを得られる投資のひとつに、ソーシャルレンディングがあります。

2008年に国内でサービスがスタートしてから、新しいインカムゲイン投資として注目されてきました。とはいえソーシャルレンディングは、まだまだマイナーな投資です。

Google検索してもファンド販売業者のサイトが多く、Amazonでヒットする関連書籍は数冊だけ。「気になるものの、うさんくささも感じる」という人が多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、実際に投資経験のある筆者がソーシャルレンディングとは何かをお伝えしていきます。

メリットだけではなくデメリットもご案内していきますので、投資判断の参考にしてください。

1.ソーシャルレンディング とは、新しいインカムゲイン投資

ソーシャルレンディングとは、投資家が自身の資金を特定のファンド(匿名組合)に出資し、分配金=インカムゲイン を得る投資です。

ここではソーシャルレンディングの仕組みや利益、クラウドファンディングとの違いについて解説していきます。

1-1.ソーシャルレンディングの仕組み・利益

ソーシャルレンディングは、インターネット上の金融サービスです。

金融とは、お金を融通すること。特に資金の需要と供給に関することを指します。

インターネット上で資金需要者と供給者を結び付けるサービスが、ソーシャルレンディングです。

ソーシャルレンディングにおける資金需要者は、お金を借りて事業資金にしたい法人。資金の出し手になるのは、余裕資金を投資運用したい個人投資家です。

この二者を結び付けるのが、ソーシャルレンディングのプラットフォーマーであるファンド販売業者です。

<ソーシャルレンディングの仕組み>

  • 資金需要者
    事業資金を借りたい法人

  • 資金の出し手
    余裕資金を投資運用したい個人投資家

  • プラットフォーマー(ファンド販売業者)
    資金需要者と資金の出し手をつなぐプラットフォームを提供する、金融商品取引業者

  • ファンドの事業者(匿名組合の営業者)
    プラットフォーマーを通じて資金需要者に金銭を貸し付ける貸金業者。ファンド販売業者自らファンドの事業者(匿名組合の営業者)となっていることも

このようにインターネット上で資金を貸したい人と借りたい人をつなぐ金融サービスには、海外のP2Pレンディング(peer to peer lending)があります。

P2Pレンディングはソーシャルレンディングと同じと言われることもありますが、それぞれ仕組みが異なるので気をつけましょう。

海外のP2Pレンディングの場合、資金の出し手は直接資金需要者に貸付を行います。

しかしソーシャルレンディングでは、直接的な資金の貸し借りはありません。

日本は貸金業法の規制があり、原則としてお金の貸し借りで利益を得る行為は禁止されているからです。

ソーシャルレンディングでは、まず事業者(匿名組合の営業者)がプラットフォーマー(ファンド販売業者)を通じてファンド(匿名組合)の組成を行い、不特定多数の投資家から資金を集めます。

投資家から集めた資金を元に、事業者(匿名組合の営業者)から資金需要者に貸付をする仕組みが、ソーシャルレンディングです。

個人投資家は、プラットフォーム上で投資したい案件(ファンド)を選んで投資します。

運用が始まったら、後は投資金額に応じた分配金を定期的に受け取るだけです。

このように自身の余裕資金を特定のファンド(匿名組合)に投資し、投資金額に応じたインカムゲインを得られるのがソーシャルレンディングです。

1-2.クラウドファンディングとの違い

ソーシャルレンディングは元々、クラウドファンディングの一種です。

クラウドファンディングとは、「インターネット上で資金提供を求める資金需要者と、資金の出し手を結び付けるサービス」のこと。

資金提供の形は「寄付」から特定の商品・サービスの「購入」、金銭的なリターンを得る「投資」まで。さまざまな形が存在します。

資金提供の形が「投資」になっているものを「投資型クラウドファンディング」と呼び、その中で、ファンドの出資対象となる事業が「貸付」になっているのが、ソーシャルレンディングです。

そのためソーシャルレンディングは別名「貸付型クラウドファンディング」や、「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれています。

つまり数あるクラウドファンディングの中で、「貸付を出資対象事業とするファンドへの出資」によって資金の出し手が金銭的なリターンを得る投資。それがソーシャルレンディングです。

2.ソーシャルレンディング 4つのメリット

ここではソーシャルレンディングのメリットを4つ、ご案内していきます。

2-1.少額で始められる

ソーシャルレンディングでは、1万円から始められる案件が多くそろっています。

実績のあるファンド販売業者サイトでも、最低投資金額が1万円になっているのが通例です。

少額から気軽に始められるため、投資に不安のある方でも気軽に始めやすいのではないでしょうか。

2-2.運用期間を選べる

ソーシャルレンディングは案件によって運用期間が異なり、3か月程度の短期案件から3年程度の長期案件まで、さまざまあります。

運用期間を決めるのは、投資家本人です。自身の資金計画にあわせた運用期間の案件を選べるので、より柔軟に資産運用できるでしょう。

ただし案件の運用期間は、貸付事業の状況次第で変動します。予定より早く運用が終了してしまう場合もあれば、逆に運用期間が伸びる場合もあります。

投資する際は、リファイナンス(他のローンの借り換え)を前提とした案件なのか、貸付事業の出口戦略をよく確認しておきましょう。

2-3.インカムゲイン投資の中でも利回りが高め

ソーシャルレンディングは、インカムゲイン投資の中でも利回りが高めで、年2%~10%程度の案件が用意されていることが多いです。

同じインカムゲイン投資のREIT(不動産投資信託)の平均利回りは、年4%程度。リターンが高いと言われる株式投資でも、東証一部銘柄の配当利回りは、年2%程度です。

もちろん実際の利回りは個別の案件によって異なるため、「他の投資よりも絶対に利回りが高い」とは言い切れません。

ただ高めの利回り案件が揃っている点は、ソーシャルレンディングの大きな魅力と言えます。

2-4.運用の手間がかからない

ソーシャルレンディングで運用を開始した後、投資家がすべきことは何もありません。

案件を選んで投資資金を出したら、あとはただ運用が終了するのを待つだけです。

毎日相場や株価をチェックする必要がないので、普段どおりの日常生活を送れます。

相場にはりつく投資は大きな利益を得られる可能性もありますが、そのぶん仕事やプライベートの時間を犠牲にしなければなりません。

その点ソーシャルレンディングでは、運用にかかる手間が一切かからないため、仕事やプライベートの時間をしっかり確保できます。

3.ソーシャルレンディング 4つのデメリット

ここではソーシャルレンディングのデメリットを4つ、ご案内していきます。

3-1.元本保証は一切ない

ソーシャルレンディングは投資ですので、元本保証は一切ありません。

よくソーシャルレンディングと預貯金を比較し、「預貯金よりも利回りが高い」と表現されることがあります。しかし預貯金は、元本保証型金融商品。

根本的に違う商品を比較対象にして、デメリットを無視してはなりません。

ソーシャルレンディングは投資である以上、どこまでも元本割れの可能性がつきまといます。

そのため投資する際は余裕資金の範囲で行い、一つの案件に集中投資しないようにしてください。

これはソーシャルレンディングに限らず、全ての投資に言えることです。

3-2.貸し倒れや事業者(匿名組合の営業者)破綻による元本棄損リスクがある

ソーシャルレンディングには貸付先企業の貸し倒れ(デフォルト)や、ファンドを運用する事業者(匿名組合の営業者)の破綻によって、元本を失う可能性があります。

残念ながらソーシャルレンディング業界では、過去複数の貸し倒れが起きました。

100億円以上の貸し倒れによって破産し、個人投資家による集団訴訟に発展しているファンド販売業者、事業者(匿名組合の営業者)もいます。

2019年3月には、こうした状況を鑑みた金融庁より、 注意喚起が出されました。

ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください (外部リンク)」(金融庁)

ノーアクションレターに対する回答以降、ソーシャルレンディング業界では貸付先の情報公開が進み、不自然な高利回り案件を募集するファンド販売業者、事業者(匿名組合の営業者)は減ってきています。

とはいえ、ソーシャルレンディングはまだまだ発展途上の投資です。

サイトに掲載されている情報や貸付先の事業内容を見極め、集中投資は避けること。

複数の案件に分散投資したうえで、「たとえ貸し倒れが起きても、トータルリターンは黒字になる」運用を目指しましょう。

3-3.運用期間中の解約や資金引き出しはできない

ソーシャルレンディングの運用期間中は、解約も資金の引き出しもできません。

無職になって収入が減ろうが、突発的な出費で家計が赤字になろうが、原則として途中で運用を辞めることはできないのです。また運用の状況によっては、運用期間が延長される可能性もあります。

ソーシャルレンディングで投資する際は運用期間をよく確認し、数年使わなくてもまったく問題がない余裕資金で運用するようにしましょう。

3-4.雑所得扱いとなり、税制上の優遇制度はない

ソーシャルレンディング投資で得た分配金は原則として雑所得扱いとなり、総合課税方式で計算されます。

総合課税方式の場合、投資で得た利益に給与や事業収入など他の所得を合算し、その合計所得額に応じて税率が高くなります。

所得税の税率は5%~45%の累進課税なので、高所得者になるほど税率も高くなる点は注意が必要です。

以下の記事ではソーシャルレンディングと同様の税制が取られる匿名組合出資について解説しています。興味がある方はあわせてお読みください。

またソーシャルレンディングは、NISAやiDeCoといった節税制度の対象ではありません。

今後ソーシャルレンディングがより一般に浸透していけば、税制面の見直しはあるかもしれません。しかし2020年現在では、税制上の優遇制度は用意されていないので、覚えておきましょう。

4.ソーシャルレンディングはサテライト運用がおすすめ

余裕資金を運用して、比較的高いインカムゲインを得られるソーシャルレンディング。運用にかかる手間が少なく、初心者でも手軽に始められる仕組みは非常に魅力的です。

その一方で過去の貸し倒れなど、まだまだ不安要素の多い投資である点は否めません。

そのためソーシャルレンディング投資は、他の金融商品のサブ的な立ち位置として、サテライト運用することをおすすめします。

サテライト運用とは、資産をコア(中核)とサテライト(衛星)に分け、サテライト部分でリスクを取った運用をする方法です。

コア資産は債券投資などでリスクを抑えて運用し、サテライト資産をソーシャルレンディングで運用しましょう。

なおサテライト運用する場合でも、複数のファンド販売業者で、複数の案件に分散投資することが大切です。

一部の案件では、貸し倒れが起こり得る」という前提でポートフォリオを組み、トータルでプラスになるような運用を目指しましょう。

また貸付先の情報公開が進み、信頼性の高い企業への貸付案件も出てきています。公開されている情報をつぶさに確認しながら、慎重に投資案件を選ぶようにしてください。

5.まとめ

ソーシャルレンディングは、手間をかけずに余裕資金を運用するインカムゲイン投資です。

ただし投資としては発展途上にあり、貸し倒れなどによる元本割れリスクが存在します。

したがってソーシャルレンディングは、「運用資産に余裕があり、サテライト資産の運用として利用できる」方におすすめです。

投資において、元本割れリスクを100%防ぐ方法はありません。貸し倒れは一定の確率で起こるものとして分散投資を心がけ、コア資産は安全性の高い運用をする。

この原則を守ったうえで、ソーシャルレンディングを行うようにしてください。


前へ

ワンルーム投資で気を付けることとは?想定すべきリスクについて解説

次へ

つみたてNISAとは?仕組みとメリット・デメリットについて解説