太陽光発電は環境にいい?悪い?環境に悪影響を及ぼす状況とその対策

 

この記事の目次

世界中で急速に増加している太陽光発電。一般的に太陽光発電は「環境にいい」というイメージがありますが、実は太陽光発電が環境に悪影響を及ぼす場合もあります

環境への悪影響を防ぐには太陽光発電所を建設する際に、環境問題に配慮した建設地や太陽光パネルの選択、廃棄・リサイクル費用の積立が必要です

この記事では、太陽光発電の環境へのメリットとデメリットを解説します。太陽光発電は、適切に建設・運用すれば非常に環境価値の高い発電方法です。

この記事を読んで、何が環境問題になるのか、どう対策すればいいのかを知りましょう。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 地球温暖化の進行が大きな問題となっている
  • 太陽光発電の環境へのデメリットもある
  • 太陽光発電の適切な建設・運用が重要

太陽光発電の環境へのメリット

最初に、太陽光発電が急速に増加している要因を解説します。地球温暖化の進行が緊急性の高い問題となっているため、地球温暖化防止のためにも太陽光発電の普及が期待されています。

地球温暖化が進行している

現在、地球温暖化の進行が大きな問題になっています。1880年から2012年の間に地球の平均気温は0.85℃上昇しました。

このまま地球温暖化が進行し続けた場合、2100年までに地球の平均気温が最大で4.8℃上昇する可能性が指摘されています。

地球温暖化が進行して地球の平均気温が上昇すると、さまざまな自然災害を誘発させ、人類にも大きな悪影響を及ぼすのです。

例えば、海や川等の水面から蒸発する水分が増加し、ハリケーンや台風の大型化や豪雨の増加が懸念されます。一方、砂漠などの乾燥地帯では、水分の蒸発量が増加することで、より乾燥が進行します。

一度乾燥してしまった土壌は栄養が失われるため、回復させるのが非常に困難です。

砂漠が増えることで動物の住み家を減らしたり、植物を減らすことで地球温暖化をさらに進行させたりなどのリスクがあります。

また、海は大気中の二酸化炭素を吸収する働きがあるため、大気中の二酸化炭素が増えると、海中の二酸化炭素濃度も上昇します。

海の酸性化が進行すると海洋の生態系を破壊するだけでなく、二酸化炭素を吸収してくれるプランクトンやサンゴ礁を減少させるリスクもあるのです。

ここまで解説してきたように、地球温暖化が進行することで、さまざまな被害が発生します。

しかも地球温暖化の進行によって砂漠化が進んだり、プラクトンやサンゴ礁が減少したりすることで、さらに地球温暖化を進行させる、悪循環に陥ってしまいます。

では何が、地球温暖化の原因になっているのでしょうか?

地球温暖化の主な原因は二酸化炭素

地球温暖化の原因は、熱を吸収する「温室効果ガス」の増加です。その中でも、二酸化炭素が増加しています。

下の図のように、200年前の地球の二酸化炭素濃度は約280ppmだったのに対し、2013年には400ppmを超えました。

出典:温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)

産業革命以降、先進国を中心に石炭・石油・天然ガスなどの、化石燃料の使用が急激に増えました。

化石燃料を燃焼させることで、機関車や飛行機などの動力を手にした人類は、文明を大きく発展させました。

一方で大量の二酸化炭素を大気中に放出し、自分たちが暮らす地球環境を悪化させています。このままでは人が暮らせない星になってしまうかもしれません。

現在も化石燃料は私たちの生活に欠かせません。現代の私たちの生活にエネルギーは不可欠であり、その大部分を化石燃料に依存しています。

ですが、このまま化石燃料を燃焼させ続けては、地球環境は悪化し続ける一方です。

では、どうすればよいのでしょうか?

二酸化炭素を排出しない「再生可能エネルギー」

二酸化炭素を排出しないエネルギーとして注目されているのが、太陽光・風力・水力などの「再生可能エネルギー」です。

これらのエネルギーは化石燃料と違って、発電時に二酸化炭素を排出しません。

そのため、地球温暖化の防止に貢献できるエネルギーとして、普及が期待されています。

下のグラフの「自然エネルギー」を見ていただけるとわかるように、世界の電力(電源構成)の中でも、発電量が増加中です。

出典:統計|国際エネルギー 自然エネルギー財団

一方で化石燃料の石炭・ガスによる発電も同時に増えてしまっています。その主な要因は経済です。

技術革新により再生可能エネルギーのコストは低下してきているものの、いまだに化石燃料の方が経済性で優れる場合が多いです。

出典:発電コスト検証WG
「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」

経済的に豊かな先進国の多くは、再生可能エネルギーの導入に積極的であるものの、経済成長が優先されている発展途上国では、化石燃料の使用が増加しています。

そんな中でも地域によっては、化石燃料による発電以上に、再生可能エネルギーを使った発電が、経済性でも上回るケースも出てきました。

さらなる技術革新により、再生可能エネルギーの発電コストの低下が期待されます。

日本政府も再生可能エネルギーの主力電源化を進めている

日本政府も地球温暖化の防止に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化を進めています。2018年の日本の電源構成のうち、再生可能エネルギーは16.9%でしたが、2030年の目標は22~24%です。

同時に原子力発電の復活も目指しています。

2010年の電源構成のうち25%が原子力発電でしたが、東日本大震災の影響から2018年には6.2%でした。減少した原子力発電の割合を、2030年には20~22%にすることを目指しています。

このように再生可能エネルギーと原子力発電の割合を増加させることで、化石燃料を使用した火力発電の割合を低下させます。

火力発電は2018年の電源構成のうち76.9%でしたが、2030年の目標は56%です。

太陽光発電の重要性

このように再生可能エネルギーの主力電源化が進められていますが、再生可能エネルギーには太陽光・水力・風力などの種類があります。

それらの中でも太陽光発電が果たす役割は大きいです。

2030年の電源構成のうち、22~24%を再生可能エネルギーにすることを日本は目指していると先ほどご紹介しました。このとき太陽光発電は、日本の電源構成のうち7%を占める計画です。

これは水力の8.8~9.2%に次いで、再生可能エネルギー内で2番目の割合となるため、再エネの主力電源化に大変重要な役割を果たします。

そして太陽光発電ならではの大きなメリットが「分散型電源」です。これまでの発電方法は、大型の火力発電や原子力発電所に大きく依存していました。

発電された電力は、電線で送電されるときにロスが生じます。大型の発電所に依存すると、距離が遠い地域に送電するとき、ロスが大きくなって発電コストが無駄になってしまいます。

また、自然災害等で発電所が動かなくなると、依存している範囲が大きい分、停電も大規模です。

一方で、太陽光発電は他の発電方法に比べると、建設や管理が容易です。

さまざまな事業者が、太陽光発電を行っていますし、一般家庭も屋根に太陽光パネルを乗せて発電しています。こうすることで、送電時のロスが減るため、電力の無駄を減らすことが可能です。

また、発電所もさまざまな場所に設置できるため、1つひとつの発電所への依存度が減り、災害時の停電も小規模で済みます。

ここまで解説してきたように、地球温暖化を防止するためにも、再生可能エネルギーの重要性は増しており、その中でも太陽光発電の果たす役割は非常に大きいです。

太陽光発電の環境へのデメリット

再生可能エネルギーの環境へのメリット、そして太陽光発電の重要性をご紹介しました。

ですが、再生可能エネルギーである太陽光発電も、建設場所や廃棄方法によっては、環境に悪影響をもらたす可能性が指摘されています。

この章では、どういった悪影響が指摘されているのか、そしてどう対策をすればいいのかを解説します。

森林伐採による環境への悪影響

太陽光発電所を建設する事業者の中には、森林を伐採して建設する事業者も。森林を伐採して建設すると、以下のように環境へのデメリットがあります。

  • 森林減少によるCO2吸収量の低下
  • 土砂災害

森林減少によるCO2吸収量の低下

太陽光発電は発電時に二酸化炭素を排出しない発電方法ですが、二酸化炭素を吸収してくれる森林を伐採しては、太陽光発電の環境価値を下げてしまいます。

環境価値を高めるためには、できるだけ森林がない場所を選んで建設する必要があります。

土砂災害

太陽光発電所は平地だけでなく、山や丘に建設することも可能です。山や丘に建設する場合は、太陽光パネルの崩落や、土地の保水能力の低下による水害といった災害が懸念されます。

岡山県や広島県に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨では、兵庫県の発電所で太陽光パネルが斜面を崩落する被害が発生しました。

出典:第14回新エネルギー発電設備事故対応・構造強度WG

また、山間部に建設する際に住民から反対の声が上がり、建設反対の要望書が都道府県に送られたこともあります。

環境や住民の安全性を考えるのであれば、山間部より平地に建設することが望ましいでしょう。

どうしても山間部に設置する際は、十分な対策を講じつつ、住民が納得できる説明が求められます。

出典:PIXTA

廃棄問題による環境への悪影響

一部の太陽光パネルには、鉛やセレンなどの有害物質が使われているものもあるため、適切な処理が必要です。

太陽光パネルの寿命はおよそ20~30年と言われており、太陽光パネルの年間排出量のピークは、2035~37年と推計されています。

そのため事業者には廃棄・リサイクルの費用確保も求められますが、資源エネルギー庁の調査では、低圧の74%・高圧の59%が廃棄・リサイクル費用の積立を行っていません。

太陽光パネルの廃棄問題への対策

太陽光パネルの廃棄問題をクリアするには廃棄・リサイクル費用の確保が必要です。

廃棄費用等の確実な積立が担保される制度が望まれます。

また、2035~2037年頃の太陽光発電パネルの年間排出量は、ピーク時に最終処分量の1.7~2.7%に相当することが予想されています。

最終処分場の廃棄ではなくリサイクル・リユースすることも非常に重要です。

リサイクル・リユースすることで、再資源化率の向上、最終処分率の低減、廃棄にともなう環境負荷を低減することが可能です。

アルミフレーム、ガラス、セル、バックシートなどに剥離(はくり)・分別するシステムによって100%リサイクルができるようになることが望まれます。

ソライチファンドの取り組み

弊社では太陽光発電ファンドである「ソライチファンド」を扱っております。資産運用をしながら太陽光発電の普及に貢献していただけます。

固定価格買取制度により、20年間の買取単価が安定しており、20年間の安定収入が見込めることが特徴です。

ここでは、ソライチファンドが太陽光発電の環境問題にどのように取り組んでいるのかをご紹介させてください。

森林伐採による環境問題への対策

我々は、大規模な太陽光発電所を建設することに伴って森林を伐採することは、生態系の乱れや環境の悪化につながると考えています。

そのため、次のような土地を太陽光発電所の用地を基本としております。

  • 耕作放棄地(高齢となり後継者もいないため、放置された田畑=雑草対策で困っている地主)
  • 既存の造成地で転用が難しい土地

敷地内で、太陽光の日射に影響のでる雑木・竹については、できる限り伐採の面積を少なくしています。

なお、ファンドの募集時に、出資者1人あたり5000円を(公益社団法人)国土緑化推進機構の緑の募金に寄付しています。

まとめ

地球温暖化問題の緊急性が増している今、再生可能エネルギーの普及は非常に重要です。その中でも太陽光発電の果たす役割は大きいでしょう。

ですが、建設地や太陽光パネルの選択によっては、太陽光発電も環境に大きな悪影響を与えてしまいかねません。

太陽光発電の環境価値を高めるには、森林伐採を最小限に抑えた平地の建設地を選ぶ必要があります。

そして有害物質が少なく、リサイクル可能素材で作られた太陽光パネルを選び、廃棄・リサイクル費用も積み立てなければなりません。

地球環境を守り、私たちが幸せに生活し続けるためにも、太陽光発電の適切な建設・運用が重要です。

太陽光発電が循環型社会の形成に貢献するものとなることを期待しています。


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