不動産投資の始め方について解説

 

この記事の目次

超低金利が続く現代においては、投資による積極的な資産運用が推奨されています。

資産運用方法の一つとして注目を集めているのが不動産投資です。

もともと不動産投資は一部の資産家や地主などが行うものでしたが、最近ではサラリーマンなどが副業として不動産投資を始める例も増えています。

不動産投資を始めたいと考えている方のために、不動産投資のメリットやデメリット、不動産投資を始めるための方法について解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 不動産投資はメリットだけでなくデメリットも理解してから始めるべき
  • 不動産投資には実物不動産の取得だけでなく不動産ファンドなどへの投資もある
  • 実物の不動産投資を始める際には余裕を持った資金繰り計画を立てておくことが重要

1.不動産投資を始めるための基礎知識

不動産投資を始めるために知っておくべき基礎知識について説明します。

1-1.不動産投資の仕組み

不動産投資とは、購入した不動産を貸して賃料収入を得ることを目的とした投資です。

基本的には家賃といったインカムゲインの獲得を目標にしています。

また、不動産売買価格が右肩上がりで上昇している局面では、投資用の不動産を売却することで売却益(キャピタルゲイン)を得ることも可能です。

かつては地主や事業会社など一部の資産家が取り組んできた不動産投資ですが、最近では会社員などの資産運用方法の一つとしても人気があります。

1-2.不動産投資を始める3つのメリット

不動産投資を始める際にはメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。

不動産投資のメリットとしては次の3点があります

  • 賃料収入が継続的な安定収入となる
  • 優良物件であれば売却益を得られる可能性がある
  • 担保価値のある不動産を保有することで融資を受けやすくなる

賃料による収入の安定

不動産投資の大きな魅力は、軌道に乗れば不動産自体が継続的に賃料収入を発生させる点でしょう。うまくいけば、それほど手間をかけなくても安定した収入を維持することができます。

不動産投資は利回りが比較的良いものも多いため、銀行に預金をしてもほとんど利息を得られない現代において、不動産投資は資産運用先の有力な選択肢です。

優良物件であれば売却益を得られる可能性も

不動産投資は賃料収入を得ることが第一の目標ですが、不動産市況によっては購入したときの金額よりも高額で売却できる可能性もあります。

保有し続けること以外にも利益を得るチャンスがあることも不動産投資の魅力の一つでしょう。

不動産を保有することで融資が容易に

金融機関から融資を受ける場合、不動産は優良な担保物件となります。

このため、不動産投資として担保価値のある不動産を保有していると、金融機関からさらに融資を受けやすくなります。

最初に投資した物件を担保に融資を受けて、さらに別の不動産へ投資を行うことも可能になるのです。このような好循環を利用して、不動産投資を始めたばかりの投資家が、短期間で数億から数十億の規模の不動産を保有しているケースもあります。

1-3.不動産投資を始めるうえでの3つのデメリット

不動産投資のデメリットは以下の3点です。

  • 想定どおりの収益が得られないリスクがある
  • 不動産管理の手間がかかる
  • 現金化が容易ではないことが多い

想定どおりの収益を得られないリスク

収益が出ない原因としてよくあがるのが、当初想定した賃料では借り手がつかず賃料を下げなければならないことや、長期間に渡って空室となることです。

不動産投資用ローンを組んでいる場合には賃料収入が発生しなくても毎月の返済があります。

借主がいない状況が続いたり、賃料の低下により想定していた収入が得られなかったりするとローン返済などが間に合わず、破綻してしまうかもしれません。

これ以外にも、災害などによって投資用物件に大規模な修繕が必要となることもあります。このような想定外の経費で支出が膨らむリスクもあるのです。

不動産の運用にはさまざまなリスクが伴います。

したがって、不動産投資を始める場合には最悪の事態を想定した、保守的な資金繰り計画を立てておく必要があります。

不動産管理に手間がかかる

不動産投資は不労所得と考えられがちですが、放置しておいても勝手に収益を生む資産ではありません。

例えば不動産に水漏れがあった場合には緊急の対応が必要となりますし、賃借人が退去する場合には貸主である不動産投資家が解約の手続きを行う必要があります。

不動産管理をすべて管理会社に委託すればよいと考えるかもしれません。

しかし、すべての管理業務を管理会社に委託すると、相当の費用が発生します。その分、不動産投資による収益は低下するのです。

このため不動産投資の際はある程度、自分でも不動産管理をすることを前提として考えておく必要があります。

現金化が容易ではない

不動産投資を始めた後に急に現金が必要になっても、不動産の売却には時間がかかります。

不動産投資は長期投資として考えるべきであり、急な現金化の必要が生じないようにしておいたほうがよいでしょう。

以上から、不動産投資を始める場合には余裕を持った資金計画のもと行うことが重要です。

2.不動産投資を始めるための3つの代表的方法

典型的な不動産投資とは実物の不動産を購入して賃貸することです。

もっとも、不動産から利益を得る方法は実物不動産の購入にとどまりません。

そこで、不動産投資を始めたい方に向けて不動産からの収益を得る3つの方法を紹介します。

2-1.実物の不動産への投資

一般的に「不動産投資を始める」といったときにイメージされるのは、やはり実物の不動産を購入して賃貸をする方法でしょう。

従来の不動産投資では、地主や資産家などの不動産投資家が自ら土地を用意し、投資用のアパートなどを建築することが多くありました。

最近では、最初から投資用として建築された区分マンション(ワンルームマンション)が不動産投資を始めたばかりの投資家向けに販売されることも増えています。いわゆる「ワンルームマンション投資」です。

このほか、専業の不動産投資家などが賃貸マンションを一棟丸ごと購入する「一棟買い」という手法もあります。

一棟買いかワンルームマンション投資か、新築物件か中古物件か、都心の物件か地方の物件かなど、投資対象となる不動産の選択肢は多岐にわたります。

どのようなタイプの実物不動産に投資するかによってメリットやデメリット、想定すべきリスクが異なるため、投資先の不動産についてしっかりと調査・検討することが重要です。

2-2.証券化された不動産への投資

上で挙げた実物不動産への投資は多額の初期費用がかかるため、参入障壁が比較的高いといえます。このため、不動産投資を少額から始められるように、投資対象の不動産を「証券化」することで小口資金での投資が可能となる金融商品がつくられました。

証券化された不動産投資には、上場不動産投資信託であるJ-REITのほか、GK-TKスキームやTMKスキームによる非上場の不動産投資ファンドへの投資などさまざまな種類があります。

証券化された不動産に投資することは、通常は「有価証券への投資」と同様に扱われます。

また、証券化不動産は不動産管理や固定資産税などの納税、資金繰りなどをファンドの運用会社が一括して行います。

不動産投資のデメリットで挙げたような手間やリスクを回避しながら、不動産による収益を手にすることができるのです。

もっとも、不動産ファンド自体が破綻した場合、出資したお金が戻ってこないリスクはあります。

不動産ファンドなどの投資対象は都心の優良物件や大規模物件がメインです。

都心の一等地にあるオフィスビルや高級マンションなど、個人の資金力では投資できない物件に投資できることも不動産ファンドの特徴です。

このほか、最近では太陽光発電設備等のインフラへの投資なども盛んになっています。

実物の不動産投資に不安がある場合には、まず不動産ファンドへの投資から始める選択もあります。

2-3.不動産クラウドファンディングへの投資

投資対象となる不動産が証券化不動産ほど大規模ではないものが、不動産クラウドファンディングです。

一般的なクラウドファンディングと同様に、不動産クラウドファンディングでもインターネット上で不動産投資の出資者を募り、集まった小口資金を集約して特定の不動産を購入します。

不動産クラウドファンディングで投資した不動産から賃料収入が発生したら、投資額に応じて各投資家に収益が配分されます。不動産クラウドファンディングでは最低投資額が1万円程度となっていることも多く、少額で不動産投資に参入できることが最大のメリットです。

このため、不動産投資を始めたいが多額の資金を投資することに不安がある場合、不動産クラウドファンディングも検討するとよいでしょう。

ただし、不動産クラウドファンディングは投資先としては比較的新しい仕組みのものです。

運営会社が必ずしも大手企業とは限らないため、投資を検討している不動産クラウドファンディング業者が信用できるか、投資対象となる不動産に収益性があるか、などといった点を投資家自身で十分に検討することが大切です。

3.不動産投資を始める際のポイント

実際に不動産投資を始める際にはどのようなポイントを押さえればよいのか、不動産投資を始めるまでの手順について説明します。

3-1.不動産投資の手法を選択する

上で挙げたように不動産投資の手法は複数あります。

そこで、どの手法によって不動産投資を始めるかを決めなければなりません。

どの不動産投資の手法もそれぞれメリットやデメリット、想定すべきリスクがあります。

個々の投資家ごとに投資の目的や資金力なども異なります。

このため、不動産投資先を決めるには、投資家ごとのニーズに合った不動産投資の手法を選択することが大切です。

3-2.投資対象の不動産を検討する

どのような投資手法を選択するにせよ、投資対象となる不動産は必ず確認するべきです。

不動産投資では不動産そのものが収益を生み出します。不動産の立地や設備などの優位性などが投資の成否を左右するのです。

実物不動産への投資や不動産クラウドファンディングでは、特にどの不動産を選択するかが重要になります。

また、J-REITなど多数の不動産に分散投資するタイプの投資商品でも、ファンドごとに設定される投資方針(クライテリア)において、どのタイプの不動産に投資するか、投資する不動産の最低購入額などが定められています。

J-REITなどでも投資方針を確認し、自分の投資方針とファンドの投資方針に齟齬がないかを事前に検討しておくべきです。

3-3.資金繰りのシミュレーションをする

実物の不動産投資では、不動産購入後に発生する経費などをあらかじめ見積もった上で、不動産投資の資金繰りをシミュレーションしておく必要があります。

不動産投資による収益は賃料相場や実際の空室率などを参考にしつつ、保守的に見積もっておいたほうがよいでしょう。

また、不動産投資を始めた後に発生する経費として、租税公課や不動産管理にかかる費用を忘れずに計上しておく必要があります。

不動産投資用ローンを借りる際には、税務上「経費」となるのは利息のみですが、元本の返済についても資金繰り計画には入れておきましょう。不動産投資用ローンの返済が滞ると資金繰りはすぐに破綻し、破産などを余儀なくされます。ローンの返済は余裕を持って計画しておくことが重要です。

J-REITなどの不動産ファンドや、不動産クラウドファンディングへの投資を始める場合、資金繰りのシミュレーションは基本的に運用会社が行います。このため、不動産投資家自身が資金繰り計画を立てる手間は省けます。

もっとも、将来的に実物の不動産投資を始めたいと考えている場合には、不動産ファンド運用会社からの報告を確認し、不動産投資ではどのような経費が発生するのかを勉強しておくとよいでしょう。

4.まとめ

不動産投資は必ずしも実物不動産への投資に限られません。

不動産から収益を得たいというだけであれば、不動産ファンドなどへの投資の方が適していることもあります。

実物の不動産投資を始める場合、不動産そのものの収益性などを投資家自身が慎重に見極める必要があります。

例え人気のあるワンルームマンションでも、その投資物件が「相場より割高ではないか」など実際に購入する際に見極めるには不動産に関する知識がある程度必要です。

不動産について詳しいわけではなく、単に資産運用先の一つとして不動産投資を検討している方には、不動産投資ファンドや不動産クラウドファンディングの方がニーズに合っているかもしれません。

不動産投資で重要なのは、始める前に不動産投資の手法を幅広く検討したうえで、自分自身に合った投資方法を選択することといえるでしょう。


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