不動産投資詐欺に注意!よくある手口と騙されないためのポイント

 

この記事の目次

不動産投資の初心者が不動産詐欺に遭うケースが多々あります。

不動産取引は、一般的に不動産業者や売主の方に情報が偏っている「情報の非対称性」があるといわれます。

このため、買主が不動産投資の初心者であると、情報の非対称性を利用され騙されてしまうことがあるのです。

そこで、不動産投資を始める方に向けて不動産投資詐欺の典型的な手口や騙されないための注意点を解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 最近の不動産投資詐欺には入居率・賃料の偽装やデート商法によるものがある
  • 不動産投資では騙されて詐欺の加害者とされるリスクもある
  • 不動産投資詐欺に遭わないためには、不動産業者などの話を鵜呑みにせず自分で調べる姿勢が大切

1.不動産投資詐欺のよくある手口

不動産投資詐欺にはいくつか典型的な手口があります。

事前に詐欺の手法を知っておくことで騙されるリスクが減ります。

1-1.入居率・賃料等の偽装

不動産投資用の物件を購入する際に一番注意すべきなのが入居率や利回りの偽装です。

不動産投資の場合、購入後に想定される賃料収入と入居率が投資判断の決め手になります。

賃料額や入居率が偽装されていると、本来であれば購入しないような不動産に投資してしまうことになりかねないのです。

新築物件など賃借人の募集実績がない物件の場合、賃料額や入居率は仮定に基づく予測に過ぎません。

このため、想定より収益が少なかったとしても、ただちに不動産投資詐欺であるとはいえません。

しかし、不動産業者や売主が「近くに新駅ができる計画があるから必ず賃料が上がる」などといって不動産投資用物件の購入を勧誘したようなケースでは、実際にそのような計画がなければ、不動産投資詐欺となることがあるでしょう。

そもそも、不動産業者に適用される宅地建物取引業法で、必ず利益が上がると誤解させるような断定的判断を伝えることは禁止されています。

より悪質なケースとして、不動産投資用物件の実際の入居率や賃料額を偽るものがあります。

不動産取引においては、既存の入居者の賃貸条件を一覧にした「レントロール」を買い手に提供することが一般的です。

そのレントロールに虚偽の事実を記載するという手口です。

実際には空室があるにもかかわらず「満室」と偽装するケースや、売主が入居者から解約通知を受け取っていることを取引時に買主に伝えないケースでは、売主は不動産を購入するか否かに影響を与える重要な事実を偽ったといえるため、不動産投資詐欺と評価される可能性が十分にあります。

1-2.デート商法

水面下で被害が多発しているといわれているのが「デート商法」による不動産投資被害です。

デート商法とは、恋愛関係を装って相手の好意に乗じて契約を締結させる商売の手法であり、不動産投資に限らず問題となりうるものです。

デート商法では、加害者が恋愛感情を抱いた相手であるため、被害者側に表沙汰にしづらい心情が働きます。

このため、被害が表面化しにくいのです。最近はマッチングアプリやSNS等によって気軽に異性と知り合える環境にあるため、デート商法による詐欺被害が増えていると考えられています。

デート商法による不動産投資詐欺では、被害者が加害者の勧誘に乗じて不動産を購入する契約をした途端に相手と突然連絡が取れなくなり、被害が発覚することが多くあります。

デート商法によって騙されて不動産を購入してしまった場合には、2019年4月1日施行の改正消費者契約法の定める一定の要件を満たせば、契約を取り消せることが可能です。

具体的には以下のとおりです。

当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

消費者契約法4条3項4号

1-3.手付金詐欺

「手付金詐欺」は昔からある不動産投資詐欺の手口であり、不動産投資に限らずどのような不動産取引においても注意すべきものです。

不動産を購入する際、契約時に手付金を支払い、残代金を決済・引き渡し時に支払うことが一般的です。

手付金詐欺とは、契約時に手付金を支払った後、不動産の引き渡しまでの間に不動産業者や売主と連絡が取れなくなり、不動産の引き渡しを受けられず手付金も戻ってこないというものです。

不動産業者や売主が、契約当初から不動産を引き渡さずに手付金を持ち逃げする意図であった場合には不動産投資詐欺にあたります。

1-4.二重譲渡

不動産の「二重譲渡」も典型的な不動産投資取引における被害です。

二重譲渡とは、一つの不動産を二人以上の買主と売買契約をすることをいいます。

不動産は一つしか存在しないため、複数人いる買主のうち一人しか実際に不動産を手に入れることはできないこととなります。

そもそも、不動産を二重譲渡する契約自体が無効ではないのかと思われるかもしれません。

しかし、民法上は他人が既に売買契約済みの不動産を譲渡する契約は有効とされています。

一つの不動産について不動産売買契約が複数締結された場合、所有権の取得は、買主の誰が先にその不動産の登記を備えたかによって決定されます。

このため、不動産売買契約の締結自体を先に行っていたとしても、不動産の所有権移転登記が他の買主に遅れた場合には不動産の所有権を取得することはできません。

二重譲渡契約をした売主は、所有権を取得できなかった買主に対して少なくとも手付金相当額を返還する必要があります。

しかし、売主が当初から詐欺的な意図で二重譲渡契約をしていた場合、手付金が持ち逃げされ、返還されないかもしれません。

なお、二重譲渡を売主が意図的に行った場合は横領罪にも問える可能性があります。

2.不動産詐欺に加担させられる事例も

不動産投資をする際には、騙されて不動産投資詐欺の加害者にされるリスクもあります。

この場合、単に損害をこうむるだけでは済まず、最終的に自己破産せざるを得なくなることや刑事罰の対象となることもあります。

加害者にならないよう十分に注意する必要があるでしょう。

2-1.不動産投資への住宅ローン利用

最近の不動産投資において問題視されているのが、不動産投資への住宅ローンの利用です。

住宅ローンは不動産投資用のローンと比べると低金利で融資の審査も通りやすいため、不動産投資に利用したいと考える人があとを絶ちません。

そのような心理に着目した不動産業者が、投資家に対して住宅ローンを利用した不動産投資を勧誘する事例があるといわれています。

近年も住宅金融支援機構による低金利の住宅ローン「フラット35」を不動産投資に利用していた投資家が、機構から一括返済を求められたとの報道がありました。

住宅ローンはあくまでも自己居住用の不動産購入を目的とした融資です。

このため、住宅ローンを不動産投資に転用することは、目的外利用となりローン契約に違反します。金融機関に住宅ローンの不正利用が発覚すると、契約違反に基づく一括返済を求められることがあります。

実態は定かではないものの、不動産投資用物件を取り扱う不動産業者の中には、最初から住宅ローンを利用した不動産投資をすすめる事例があるといわれるため、特に不動産投資に初めて取り組む方は注意が必要です。

不動産業者に住宅ローンの利用をすすめられ、リスクを知らずに利用してしまった場合でも、不動産投資家は詐欺の加害者とされてペナルティを受けます。

不動産投資は消費者ではなく一事業者としての取引です。

したがって、「よく契約書を読んでおらず騙された」という言い訳が通用しないことが多いため、特に慎重な取引が望まれます。

2-2.融資における審査資料の改ざん

不動産投資用の融資を受ける際、審査のために金融機関から預貯金通帳などの提出を求められることがあります。

近年、金融機関に提出した預貯金通帳などの残高が、不動産投資家の知らないところで改ざんされていた事件がありました。

不動産業者などが投資家に無断で資料を改ざんして金融機関に提出し、自分の収入や資産状況など属性からみて過大なローンを組めてしまった場合、不動産投資家自身も不審に思うべきだったのに確認を怠ったとして責任を問われることがあります。

この場合には不動産投資家は被害者であると同時に、金融機関との関係では加害者となります。

最悪の場合には金融機関から一括返済を求められ、支払えずに自己破産に追い込まれてしまうかもしれません。

3.不動産詐欺で騙されないための3つのポイント

不動産投資で詐欺被害にあわないため、次のような点に注意をする必要があります。

3-1.断定的判断をする不動産業者に注意

上でも触れたように「必ず値上がりする」などの断定的判断の提供は、宅地建物取引業法で禁止されています。

このような法令違反行為をする不動産業者は、コンプライアンス意識が希薄である可能性が非常に高いといえます。

他にも詐欺的行為を行う可能性があることから、違法行為の目立つ事業者との取引は基本的には行わないことが安全です。

3-2.不動産業者の信用性を調査する

投資用物件の勧誘を行っている不動産業者について、信用性を十分に確認することが大切です。

不動産業者が宅地建物取引業者としての免許を受けているかどうかは、国土交通省や都道府県の検索システムでweb上から確認できます。

もっとも、上場しているような不動産会社であっても、不動産投資詐欺やそれに近い行為を行う業者もいます。このため、事前に不動産業者の評判などを十分に調べてから取引に臨むことが大切です。

3-3.不動産業者の話を鵜呑みにしない

不動産投資で騙されないための基本は不動産会社や売主の言い分を鵜呑みにしないことです。

不動産投資は会社員の副業の一つとして取り上げられることが多いですが、実態としては事業経営に近いものです。

不動産投資に参入する場合は、一事業者として、独自に収支や物件の状況などを調査する姿勢が大切になります。

不動産を購入する際には遠方であっても一度は足を運び、現地の状況を確認すべきです。

同じ「投資」という名称であっても、株式などの有価証券投資と不動産投資は根本的に異なるといえます。

4.まとめ

不動産投資は、特に初心者を狙った詐欺被害に気をつける必要があります。

不動産業は免許も取得しやすいため、免許があるから安全とも言い切れないところがあります。

不動産投資は取引金額も大きいため、詐欺に巻き込まれると自己破産を余儀なくされる可能性が高いことに注意が必要です。

資産形成はしたいけれども不動産投資詐欺に巻き込まれることに不安がある方や、不動産管理の手間を省きたい場合には、現物の不動産に投資をするよりも、J-REITや不動産投資ファンドなどに出資をする方がよいこともあります。

不動産投資に限らず、投資をする際には自分のニーズや資産形成の方針にあった投資商品を選択することが大切です。


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