太陽光発電はメンテナンス必須!メンテナンスの手間を省略する方法は?

 

この記事の目次

2017年4月の改正FIT法により、太陽光発電のメンテナンスは義務になりました。

ここでは太陽光発電のメンテナンスはどんな目的でおこなわれるのか、目安としてどのくらいの費用がかかるのか解説していきます。

また、メンテナンスの手間を減らして、太陽光発電に投資をする方法についてもご紹介します。

1.太陽光発電はメンテナンスフリーではない

太陽光発電が登場したばかりのころ、一部では「太陽光発電はメンテナンスフリー」といった説明がなされていたようですが、長期的に太陽光発電設備を運用するのであればメンテナンスは必要です。

1-1.なぜメンテナンスは必要なの?

メンテナンスをおこなう主な目的は、不具合を未然に防止・発見し、太陽光発電事業の安全性を保つことにあります。

後述しますが、太陽光発電設備のメンテナンスを怠ると、発電量低下や安全性低下といった問題につながります。

太陽光発電設備が本来の性能を発揮できないだけでなく、事業者自身、場合によっては第三者に危険を及ぼす事故へ発展するのです。

しかるべき状態で太陽光発電事業がおこなわれるよう、メンテナンスは必要なのです。

1-2.太陽光発電のメンテナンスは義務?

2017年4月の改正FIT法によって太陽光発電設備のメンテナンスは義務化されています。

以下の記述は資源エネルギー庁が公開する「事業計画策定ガイドライン」の一文です。

安定的かつ効率的に再生可能エネルギー発電事業を行うために発電設備を適切に保守点検及び維持管理すること。

引用:資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」

上記は10kW未満の住宅用太陽光発電、10kW以上の事業用太陽光発電のいずれにも、遵守事項として記述されています。

太陽光発電設備を運用するのであれば、設備規模を問わずメンテナンスは必須と判断して良いでしょう。

義務化にあたって点検にまつわる条件の明確な指定はありませんが、資源エネルギー庁のガイドラインでは民間団体が定めるガイドラインを参考として、同等の内容、あるいはそれ以上の保守点検をおこなうよう促しています。

保守点検及び維持管理計画の策定、体制の構築に当たっては、民間団体が定めるガイドライン等(付録参照)を参考にし、当該ガイドライン等で示す内容と同等又はそれ以上の内容により、事業実施体制を構築するように努めること。

引用:資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」

標準として扱われる民間団体のガイドラインとして、日本電機工業会と太陽光発電協会が共同作成している「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」が挙げられます。

同ガイドラインには、設置1年目、設置5年目、以降4年ごとを点検時期として提示しています。

出典:日本電機工業会・太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」

上記が最低限の基準となるため、少なくとも設置1年目をめどに一度、以降は4年に一度以上の保守点検をおこなうものと考えましょう。

2.太陽光発電のメンテナンスを怠るとどうなる?

太陽光発電のメンテナンスを怠ったとき、懸念される主な不具合や問題は3つ挙げられます。

  • 発電量低下
  • 安全性の問題
  • FIT制度の認定取消

適切な回数・内容のメンテナンスを怠った場合、起こりえるトラブルを3つに分類して解説していきます。

2-1.発電量低下

太陽光発電設備のメンテナンスを怠ると、太陽光パネルの汚れ、設備や周辺機器の故障を放置してしまうこととなります。

明らかに故障している箇所はもちろん、問題の出ていない設備などの確認も必要です。

とくに太陽光パネルの汚れは太陽光の妨げとなるほか、太陽光パネルの一部を高温にする「ホットスポット」を誘発し、発電した電気の流れをせき止めてしまいます。

つまり、汚れは太陽光の阻害による発電量低下だけではなく、設備内部に不具合を起こす深刻なレベルの発電量低下を招くのです。

発電量が少なくなれば売電量が減ってしまい、事業の収益性は落ちてしまうため、汚れや故障の放置を避けて収益性を維持するためにもメンテナンスは不可欠です。

2-2.安全性の問題

先ほど挙げたホットスポットは、発電量の低下だけでなく発火を招く危険性があり、太陽光発電設備の周囲に雑草や枯れ葉があると火災に発展する懸念もあります。

また、適切なメンテナンスがおこなわれていない太陽光発電設備は、部品を接続するためのボルトが緩んでいることもあり、場合によっては強風により太陽光パネルや小さな部品が飛散します。

いずれの場合も太陽光発電設備そのものが損害を受けるだけでなく、周囲の人やモノにまで被害を及ぼしかねません。

他人の身体・施設に被害があれば賠償責任を負うこととなり、賠償金の支払いを求められる懸念もあるでしょう。

2-3.FIT制度の認定取消

2017年4月の改正FIT法により太陽光発電のメンテナンスは義務化されており、メンテナンスを怠った場合にはFIT制度の認定を取り消される可能性があります。

前述の通り、10kW未満の住宅用太陽光発電、10kW以上の事業用太陽光発電のいずれにも、遵守する事項として「安定的かつ効率的に再生可能エネルギー発電事業を行うために発電設備を適切に保守点検及び維持管理すること」とガイドラインに記述があります。

加えて以下の通り、遵守を求めている事項に違反した場合には、措置として認定取消が講じられる可能性について明記されているのです。

本ガイドラインで遵守を求めている事項に違反した場合には、認定基準に適合しないとみなされ、再エネ特措法第12条(指導・助言)、第13条(改善命令)、第15条(認定の取消し)に規定する措置が講じられることがあることに注意されたい。なお、努力義務として記載されているものについても、それを怠っていると認められる場合には、再エネ特措法第12条(指導・助言)等の対象となる可能性がある。

引用:資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」

太陽光発電は一般的にFIT制度適用を前提として事業計画を策定するため、認定取消の処置が下れば採算性は悪化します。

投資額の回収もままならない可能性があるため、ほかの2つとあわせて絶対に避けるべき事態といえるでしょう。

3.年間のメンテナンス費用はどのくらい?

太陽光発電設備のメンテナンス費用は設備規模やメンテナンスの回数・内容によって異なるため、ここでは目安を解説します。

3-1.住宅用太陽光発電におけるメンテナンス費用の目安

2021年1月に公開された「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」によると、住宅用太陽光発電の定期点検(メンテナンス)費用は1回あたり2.8万円程度。

パワーコンディショナは20年間のうちに一度は交換されており、20.9万円程度が相場とのことです。

発電量の維持や安全性確保のため、3~4年に一度程度の定期点検が推奨されており、1kWあたりの年間運転維持費は約3,490円という結果が出ました。

なお、これらは発電出力5kWの住宅用太陽光発電を想定した数値です。

以上の情報をもとに2021年度、2022年度の運転維持費用は、おおむね年間3,000円/kWになると想定されているため、新築設備におけるメンテナンス費用の目安は「発電出力(kW)× 3,000円/年」で求められます。

3-2.事業用太陽光発電におけるメンテナンス費用の目安

事業用太陽光発電のなかでも、低圧物件に分類される10kW以上50kW未満の太陽光発電設備は、定期点検に年間10~15万円程度の費用がかかります。

太陽光パネルの洗浄は1kWあたり2,000~5,000円程度。

除草作業は除草剤や草刈り機、防草シートやコンクリート工事など選択肢の幅が広く、1平方メートルあたり数百円から数千円まで費用にはバラつきがあります。

住宅用太陽光発電よりも太陽光パネルの面積や設置条件に差が出やすいため、あくまでも目安としてください。

3-3.費用のかかるメンテナンスは自力で対応するべき?

とくに事業用太陽光発電は決して少額とはいえないメンテナンス費用が発生するため、非専門家でもできる作業は発電事業者が自ら対応するケースもあります。

たしかに、セルフメンテナンスで対応するとコストカットにはつながりますが、基本的に大部分のメンテナンスは専門業者に任せることをおすすめします。

たとえば太陽光パネルの洗浄は簡単な作業に思えますが、洗浄用の道具一式が必要です。

また、知識不足のために「パネルを強くこする」「パネルに乗って洗う」といった、太陽光パネルを傷つけるおそれのある行動をとってしまいがちです。

除草作業も非専門家が対応できるメンテナンスの1つですが、草刈り機に巻き込まれたり機器の刃がはじいた石が作業者にぶつかったり、不慣れなまま対応するとケガの原因になります。

除草剤の使用は大ケガの心配こそないものの、うまく散布しなければ効果は出ません。

コストカットのセルフメンテナンスが設備に傷をつけたり、自身のケガの原因になったりしては本末転倒です。

特別な理由がなければ、メンテナンスは専門業者に依頼しましょう。

4.太陽光発電ファンドなら「メンテナンスの手間」はなし

太陽光発電設備は実物資産であるため、発電事業者(投資家)自身がメンテナンスの業務委託を手配する、あるいは部分的にセルフメンテナンスをすることになります。

いずれにせよ金銭や労力、時間を投じることになるため、メンテナンスが必要となる太陽光発電は手間のかかる資産運用だといえるでしょう。

しかし、太陽光発電に少額投資ができる「太陽光発電ファンド」は投資以降の手続きや管理・維持業務をすべて専門家が担うため、投資家自身が負うメンテナンスの手間は一切ありません。

  • 少額投資ができる
  • メンテナンスの手間がかからない
  • 1から案件選定をする必要がない
  • あらかじめ契約期間が決まっている(出口戦略の考案が不要)

これらの特徴をもつ太陽光発電ファンドについて以下の記事で解説しています。

「太陽光発電には投資したいけどメンテナンスが面倒」とお考えであれば、一度ご参照ください。

5.まとめ

太陽光発電のメンテナンスは義務化されており、発電規模にかかわらず定期的な点検は必須です。

発電量や安全性の低下、FIT制度の認定取消といった事態を避けるためにも、メンテナンスは継続的に実施しましょう。


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