太陽光発電の初期費用は1kWあたり20万円台 |住宅用・事業用設備の相場と内訳を解説

 

この記事の目次

太陽光発電設備の設置にかかる初期費用は、設備規模や設置年度によって平均値が異なります。

そのため初期費用を計算する際、以下の2点を考慮する必要があります。

  • 設置を検討している太陽光発電設備の規模
  • 初期費用に関する直近の平均値データ

ここでは住宅用太陽光発電ならびに事業用太陽光発電設備の初期費用についてご説明します。

実態とかけ離れた情報に戸惑わないよう、信頼できる情報源から初期費用を算出する方法の参考としてご活用ください。

1.太陽光発電設備の設置にかかる初期費用の相場

調達価格等算定委員会が公表した「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」によると、2020年時点におけるシステム費用の相場と内訳はそれぞれつぎの通りです。

初期費用はシステム費用の相場をもとに算出できます。

1-1.住宅用太陽光発電における初期費用と内訳

住宅用太陽光発電におけるシステム費用(設備費用+工事費用)は、新築に導入する際の平均値が1kWあたり28.6万円、既築に導入する際の平均値は1kWあたり32.7万円となっています。

算出対象 1kWあたりのシステム費用(2020年時点)
全体の平均 29.6万円
新築の平均 28.6万円
既築の平均 32.7万円

出典:調達価格等算定委員会「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」

システム費用の平均値に対して導入設備の発電出力をかけ算することで、住宅用太陽光発電のおおよその初期費用を求められます。

たとえば新築住宅に5kWの太陽光発電設備を導入する場合、初期費用を求める計算は「28.6万円×5kW」となり、初期費用の目安は143万円だと判断できます。

なお、新築案件におけるシステム費用の内訳は以下の通りです。

費用の内訳 1kWあたりの費用内訳(2020年時点)
工事費 6万円
太陽光パネル 17.4万円
パワーコンディショナ 4.4万円
架台 2.3万円
その他 0.2万円
値引き ▲1.8万円

出典:調達価格等算定委員会「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」

1-2.事業用太陽光発電における初期費用と内訳

事業用太陽光発電におけるシステム費用は、発電出力に応じて1kWあたり20.4~25.5万円となっています。

このうち、個人規模の投資に用いられることの多い「10kW以上50kW未満」の太陽光発電設備は、システム費用の平均値が1kWあたり25.5万円ともっとも高い数値を示しています。

算出対象 1kWあたりのシステム費用(2020年時点)
全体の平均値 25.3万円
10kW以上50kW未満の平均値 25.5万円
50kW以上250kW未満の平均値 20.7万円
250kW以上500kW未満の平均値 20.4万円
500kW以上1,000kW未満の平均値 20.9万円
1,000kW以上の平均値 22.2万円

出典:調達価格等算定委員会「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」

事業用太陽光発電も、システム費用の平均値に対して導入設備の発電出力をかけ算することで初期費用の目安を求められます。

たとえば40kWの太陽光発電設備を導入する場合、初期費用を求める計算は「25.5万円×40kW」となり、初期費用の目安は1,020万円となります。

事業用太陽光発電におけるシステム費用の内訳目安は以下の通りです。

費用の内訳 1kWあたりの費用内訳(2020年時点)
工事費 7万円
太陽光パネル 12.0万円
パワーコンディショナ 3.7万円
架台 3.2万円
その他 1.8万円
値引き ▲2.5万円

出典:調達価格等算定委員会「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」

2.初期費用がかからない「0円ソーラー」の仕組みとは

初期費用をかけずに太陽光発電設備を導入する方法として「0円ソーラー」と呼ばれる仕組みがあります。

0円ソーラーは3方式に大別され、それぞれ以下のような仕組みとなっています。

なお、以下のうち0円ソーラー事業者は「契約者の住宅へ設備を無償設置する事業者」契約者は「設置対象となる住宅の所有者」です。

電力販売 発電された電力は0円ソーラー事業者のものとなり、契約者は事業者から割安で電力を購入できる仕組み
リース 発電された電力は契約者のものとなり、自家消費をして余った電力は契約者が電力会社へ売却できる仕組み
屋根借り 発電された電力は0円ソーラー事業者のものとなり、契約者は事業者から電力を購入することもできないが、屋根を貸すことで賃料を得られる仕組み

それぞれ初期費用や設備の所有者、契約者の負担などの条件は以下のようになっています。

  電力販売 リース 屋根借り
メリット 割安価格で電力を購入できる リース料金を負担するだけで設備を導入できる 屋根を貸すことで賃料を得られる
初期費用 0円 0円 0円
設備の所有者 0円ソーラー事業者 0円ソーラー事業者 0円ソーラー事業者
発電された電力 契約者が0円ソーラー事業者から電力を購入 契約者が利用し、余剰分は売電 0円ソーラー事業者が電力会社に売電
契約者の負担 購入分の電気料金 リース料金 なし
メンテナンス 0円ソーラー事業者が実施 0円ソーラー事業者が実施 0円ソーラー事業者が実施

契約中、0円ソーラーにより導入された設備のメンテナンスは0円ソーラー事業者の負担によって実施されます。

また、設置された太陽光発電設備は、災害などにより停電が起こった際に非常電源として活用できる点も魅力です。

なお、一般的に電力販売とリースの場合、契約期間の終了後に太陽光発電設備が契約者に譲渡されます。

3.0円ソーラーと自己保有はどちらが得なのか

初期費用の観点からいえば、自己保有よりも0円ソーラーの方が得だと判断できます。

ただし、0円ソーラーによる太陽光発電設備の導入を検討する場合は、いくつかの弊害があることも把握しておかなければなりません。

  • 契約者の状況、建物の状況によっては利用できない
  • 契約期間中に解約すると買取費用が発生する
  • 比較検討の対象が少ない

0円ソーラーは希望したすべての住宅が導入できるわけではなく、契約者や建物の状況が一定の条件を満たさなければ利用できません。

くわえて、何らかの理由によって契約期間を終了するまえに解約を迫られた場合、解約にともない設備の買取費用が生じる可能性もあります。

また、0円ソーラーを手がける事業者は一般的な太陽光発電の販売業者よりも少ないため、比較検討の対象が少ないことがデメリットとなる懸念もあるでしょう。

以上のように、運用にある程度の制限がくわわることを許容できるのであれば、0円ソーラーを利用した太陽光発電設備の導入は一般的な形態よりも得だと判断できます。

4.費用を抑えて太陽光発電を始めるならファンドが有力

初期費用を抑えて太陽光発電を始める場合、0円ソーラーは魅力的な選択肢に思えますが、得られるメリットは「電気を割安で購入できる」「余剰電力を売電できる」といった内容であり、「直接収入を得られる」といった金銭的なリターンはそれほど期待できません。

その点、太陽光発電ファンドは全量買取(発電した電力をすべて売電する形態)の設備へ投資できるため、投資費用は少額ながら収益獲得を主目的とした資産運用に適しています。

4-1.初期費用を抑えて投資できる「太陽光発電ファンド」とは?

太陽光発電ファンドは太陽光発電事業へ出資し、出資先の事業が得た収益の一部を分配してもらう金融商品です。

弊社が提供する『ソライチファンド』も太陽光発電ファンドの一種であり、以下のような流れによって運用されます。

太陽光発電ファンドの仕組み(運用の流れ)

  1. 出資者(投資家)が営業者(合同会社)に出資
  2. 出資金をもちいて営業者が太陽光発電設備に投資
  3. 営業者が太陽光発電設備をオペレーターに賃貸
  4. オペレーターの運用のもと、発電された電力は電力会社に売却
  5. 売電量に応じて、オペレーターは売電収入を獲得
  6. オペレーターが営業者に対して、賃借料を支払い
  7. 運営費用と内部留保を差し引いて出資者に分配

上記のように太陽光発電設備をオペレーター(株式会社ALLアセットパートナーズ)に賃貸し、賃料収入に基づく収益の一部を分配する「賃貸型スキーム」を採用しています。

4-2.太陽光発電ファンドはどんな人におすすめ?

「初期費用を抑えたい」というケースを含め、以下のような場合は太陽光発電ファンドの運用が適しています。

  • 収益獲得を目的とした太陽光発電に興味がある
  • 設備管理の手間を減らしたい

2019年度以前まで、個人が1,000~2,000万円規模の太陽光発電設備を運用し、年間数百万円の売電収入を得るケースはいくつも見られました。

しかし「地域活用要件」と呼ばれる要件が設けられたことで、小規模事業用太陽光発電は収益性が低下しました。

下記が義務付けられたことで、2019年度以前よりも売電量を伸ばしづらく、初期費用をかけるべき設備が増えてしまったのです。

  • 少なくとも発電量の30%を自家消費に充てなければならない
  • 災害時に活用するための設備投資が必要

また太陽光発電ファンドの場合、出資者が太陽光発電設備の設備管理に携わる必要はなく、専門知識を持った業者がすべての管理作業を行います。

そのため、自ら設備管理や委託先の手配を行うことを煩雑だと感じるのであれば、負担なく運用を行える太陽光発電ファンドは魅力的な選択肢だといえます。

5.まとめ

最後に、あらためて太陽光発電の初期費用をまとめました。

住宅用太陽光発電、事業用太陽光発電の費用はそれぞれ2020年時点(2021年度に確定している情報)での平均値です。

算出対象 1kWあたりのシステム費用(2020年時点)
住宅用太陽光発電 全体の平均:29.6万円
新築の平均:28.6万円
既築の平均:32.7万円
事業用太陽光発電 全体の平均:25.3万円
10kW以上50kW未満の平均:25.5万円
50kW以上250kW未満の平均:20.7万円
250kW以上500kW未満の平均:20.4万円
500kW以上1,000kW未満の平均:20.9万円
1,000kW以上の平均:22.2万円

いずれも「システム費用×発電出力」で初期費用の目安を算出できるため、太陽光発電設備の設置を検討する際は参考にしていただければと思います。

また、初期費用を抑えつつ、収益獲得を目的として太陽光発電を検討する場合には、少額から投資できる太陽光発電ファンドもご検討ください。

太陽光発電ファンドについての詳しい解説は、以下の記事にまとめています。


前へ

初心者が株式投資を始める前に確認しておきたいポイントは3つ

次へ

賃貸管理のよくあるトラブル事例3選|対処法も解説