初心者が株式投資を始める前に確認しておきたいポイントは3つ
この記事の目次
「初心者向けの株式投資本を読んでみたけれど、結局よくわからなかった」
株式投資を始めようと意気込んで専門書などを読んだものの、専門用語が多すぎて混乱してしまう投資初心者は少なくありません。
しかし初心者が株式投資を始める前にするべきなのは、専門書での勉強よりも先に「資産形成ビジョンの整理」です。
まずは自身のライフスタイルや価値観、投資に費やせる時間や金額を見直し、最適な投資スタイルを考えましょう。
投資スタイルが定まれば、自分にとって必要な情報を取捨選択しやすくなります。
「株式投資を始めたいけれど、情報が多すぎて混乱している」
「株式投資の前に最低限押さえるポイントを知りたい」
このような方は参考にしてみてください。
1.初心者が株式投資を始めるときに確認したい3つのポイント
初心者が株式投資を始めるときは以下3つのポイントを確認してみてください。
- なぜ株式投資をしたいのか
- 投資の勉強や取引時間をどれくらいとれるのか
- 必要な投資資金はいくらか
それぞれ見ていきましょう。
1-1.何のために株式投資を始めたいのか
世の中には複数の金融商品・投資があります。
資産を増やす選択肢が無数にある中で、なぜ株式投資を始めたいのでしょうか。
資産形成の目的や手持ちの投資資金によっては、株式投資以外の選択が適している場合もあります。
たとえば以下のケース。
・まとまった資金がなく、投資資金に捻出できるのは毎月2万円
・老後資金に不安がある
・貯金では増えないだろうと株式投資に興味を持った
毎月2万円でも株取引できるサービスはあります。
しかし、このケースの目的は老後資金。株式投資ではなく、つみたてNISAのような長期投資向きの制度を活用するほうが、コストを下げつつ安定したリターンを期待しやすいです。
つみたてNISAなら毎月2万円で投資信託を定期購入でき、投資にかかる売却益も非課税。
株式に投資するタイプの投資信託を選べば、間接的に株式投資することも可能です。
このように自身の目的や投資資金を一つずつ確認して整理していくと、株式投資でなくてもいい場合があります。
つみたてNISAで投資信託を始めてみて、ある程度資金を積み上げられたら株式投資に挑戦するという選択もあるでしょう。
まずは自身の目的や投資環境を明確にしてから、本当に株式投資が適しているのかを見直してみてください。
1-2.投資の勉強をする時間・取引にさける時間はあるか
投資に割ける時間の確認も大切です。
国内株式の取引時間は以下のとおり。
・平日の9時~11時30分
・12時30分~15時
合計5時間です。
土日祝日や夜間に取引市場は開いていません。
リアルタイムで利益を得るデイトレードのような株式投資をしたいのなら、平日の日中に取引時間を確保する必要があります。
平日の日中に働いている方だと難しいでしょう。
また、投資対象銘柄を選ぶ時間も確保しなければなりません。
2021年3月末時点で東証一部に上場している銘柄の数は2,000を超えています。
複数の銘柄を購入して、しっかり利益を出したいという方には、利益を出せる優良銘柄について調べる時間も必要でしょう。
もちろん「取引にあてる時間はあまりないが、まずは好きな企業の株を買って株主優待を得たい」という方もいるでしょう。
株式投資でしっかり儲けたいというより、お気に入りの銘柄目当てで気軽に株式投資を始めるケースです。
利益よりもまず株主優待という場合は、時間的な制約を気にする必要はありません。
株式投資には「指値注文」という注文方法があります。
指値注文を使えば、市場が開いていない取引時間外でも指定の銘柄を購入できるのです。
このように取引に割ける時間があまりない場合でも、目的次第では株式投資をカジュアルに楽しむことができます。
投資の目的にあわせて、自身はどれだけ取引にかけられる時間があるのかを確認しておきましょう。
1-3.株式投資に必要な投資資金はあるか
最近では1,000円程度の少額、あるいはポイントで株を買えるサービス・証券会社が出てきています。
そのため手元の資金が少ない方でも気軽に株式投資を楽しむことは可能です。
とはいえ、以下のような目的で株式投資をする際は、最低でも5万円~10万円の投資資金が必要になるためご注意ください。
<まとまった投資資金が必要なケース>
・株主優待目当てで投資をしたい
・複数の銘柄を購入して、しっかり利益を出していきたい
・デイトレードのような短期的な取引で利益を出したい
株主優待は日本独自の制度で、日本株の現物取引が必要です。
日本株の現物取引は原則100株からの購入となり、銘柄にもよりますが最低でも5万円~10万円は必要でしょう。
銘柄によっては1銘柄100万円を超えるケースもあります。
複数の銘柄を購入してしっかり分散投資したり、デイトレードのような短期的取引をしたりするのであれば、最低でも50万円~100万円は用意しておいたほうがいいでしょう。
株式投資では、日本株か外国株かといった投資対象や取引方法によって必要な投資資金が異なります。
投資に費やせる資金がどれだけ手元にあるのか、よく確認しておきましょう。
なお、ここでの「投資資金」とは、生活費とは別の「余裕資金」を指します。
くれぐれも、生活費と投資資金を混ぜてはいけません。
生活費の目安は各家庭により異なりますが、毎月の生活費の6か月分~1年分くらいを備えておくと安心です。
2.初心者は取引の前に自分の投資スタイルを決めておこう
自身の目的や投資環境を整理したら、次に投資スタイルを決めましょう。
株式投資には以下のような投資スタイルがあります。
投資期間 | 得られる利益 | 投資スタイル |
短期 | キャピタルゲイン:売買益 | 短期の売買によって利益を得るスタイル ・スキャルピング:数秒~数分単位で売買する ・デイトレード:1日 に何度も売買する ・スイングトレード:数日~1週間程度保有して取引をする |
中長期 | インカムゲイン:配当金、株主優待 キャピタルゲイン:売買益 |
期間の定めはないが、1年~10年以上の中長期にわたり銘柄を保有する。 資産の成長に期待して利益を得るスタイルのため、ひんぱんに取引(売却)することはない |
その他:IPO投資 | キャピタルゲイン:売買益 | 新規上場企業の株を取得し、初値で売却して利益を得る方法。 人気があるためほとんどが抽選となっており、必ず投資できるわけではない |
投資する期間によって得られる利益もまた変わってきます。
短期売買を繰り返す短期投資ではキャピタルゲイン(売買益)がメインとなるため、株主優待目当てであれば中長期投資のほうが適しているでしょう。
自身の性格やライフスタイル、手持ち資金に適した取引方法は何かを考え、投資スタイルを決めておくことをおすすめします。
2-1.悩んだときはまず短期か中長期かを決める
投資スタイルで悩んだときは、まず短期投資か中長期投資かを決めましょう。
それぞれ投資の特徴が異なるため、どのような人が向いているのかまとめました。
<短期投資が向いている人>
・株価チャートを分析し、瞬時に売買判断することに抵抗がない
・株式市場が開いている平日の日中に取引時間を作れる
・ある程度まとまった投資資金がある(目安は50万円~100万円)
・リスクを取ってでも短期間で利益をあげたい
<中長期投資が向いている人>
・チャートを見るより企業の業績を見るほうがいい
・「応援したい企業かどうか」を重視したい
・まめに株価チャートを見る時間がない
・あまりリスクを取りたくないため、時間をかけて少しずつ銘柄購入していきたい
上記のとおり短期投資はリスクが高く、まとまった投資資金と取引時間が必要です。
チャートについての知識も必要になるため、専門用語やチャートを見るのが苦手な方は抵抗を感じるかもしれません。
「株式投資は専門的な要素が多くてわかりにくい」という投資初心者は、中長期投資から始めてみましょう。
中長期投資であれば、無理にチャートを見て相場を予想する必要はありません。
好きな分野やお気に入りの企業の株を買ってみて、そこから少しずつ知識を広げていくのがおすすめです。
3.株式投資初心者は少額でまず経験してみよう
資産形成のビジョンや投資スタイルが定まってきたら、少額で株式売買を経験してみましょう。
専門用語を丸暗記するよりも、自身の資金を使って経験したほうが理解しやすいからです。
初めての取引では自身が好きな企業や関心の高い業種の銘柄を選ぶといいでしょう。
好きな分野・得意分野であれば、その企業や業界に対して調べることが苦にならず、楽しみながら投資できます。
ただし、好きな分野や得意分野「だけ」を買うのはおすすめしません。
その分野の相場が全体的に悪くなったとき、一気に含み損を抱えてしまう可能性があるからです。
最初は好きな企業の銘柄から始めて、徐々に分野のすそ野を広げ、バランスよく分散投資していくのがおすすめです。
投資資金が少ない場合は、少額で取引できる「単元未満株」や「ミニ株」といった少額投資を検討しましょう。
この方法であれば100株買う必要がないため、少額で気軽に複数銘柄を保有できます。
ただし100株未満の少額投資では、株主優待は得られません。
株主優待目的の場合は、100株未満の少額投資で少しずつ利益を積み上げ、徐々に100株以上の現物取引に移行していきましょう。
4.まとめ
初心者が株式投資を始める際に大切なのは、投資環境や投資の目的を整理すること。
自身の状況に見合った投資スタイルを選び、そのスタイルに必要な知識のみを少しずつ身に着けていくのがおすすめです。
まずは好きな企業・関心のある業界の銘柄を少額で買ってみましょう。
小さな体験を積み重ねて徐々に裾野を広げていけば、自分なりの投資スタイルを確立していけるのではないでしょうか。