ミドルリスク・ミドルリターンとは?投資先の具体例とローリスク・ハイリスクな資産運用も紹介

 

この記事の目次

資産運用を始めるとき、資金を投じる先のリスク・リターンを考慮しなければ以下の状況に陥ります。

  • 一向に資産額が変動しない
  • 想像を絶する損失額になってしまった

ほとんどの場合、資産を増やすための理想的な選択肢はミドルリスク・ミドルリターンの投資先ですが、投資先を見誤ってしまうと望まない結果を招きやすくなるのです。

ここではミドルリスク・ミドルリターンの意味と該当する投資先をご紹介します。

バランスの良い資産運用を考えるとき「リスク・リターン」の理解は必須であるため、投資先の選定基準として本記事の内容をご活用ください。

1.ミドルリスク・ミドルリターンとは

ミドルリスク・ミドルリターンとは利益・損失の変動幅が中程度であることを指します。

「リスク・リターン」は投資方法に対して「どれくらい得しやすいのか・損しやすいのか」といった意味合いで使われることが多く、原則としてリスクとリターンが高くなるほどギャンブル性は高くなります。

  • ローリスク・ローリターン(利益・損失の変動幅が小さい)
  • ミドルリスク・ミドルリターン(利益・損失の変動幅が中程度)
  • ハイリスク・ハイリターン(利益・損失の変動幅が大きい)

上記の3つに分類して使うことが一般的です。

リスクとリターンは片方だけ高かったり低かったりすることはなく、常にトレードオフの関係にあります。

ローリスク・ハイリターンの特性を持つ投資方法は存在しないため、リスクとリターンのバランスに違和感のある投資商品を見かけた際は注意を払いましょう。

2.ミドルリスク・ミドルリターンな投資先とは

利益・損失の変動幅が中程度であることをミドルリスク・ミドルリターンといいますが、ここではより具体的に以下を満たす投資先をミドルリスク・ミドルリターンとします。

  • 借入れを必要とせず、比較的少額から運用できる
  • 日常的な市場調査を必要とせず、かかる労力と時間が比較的少ない

これらを踏まえたミドルリスク・ミドルリターンな投資先としては、投資信託や一部の株式投資、非上場ファンドが挙げられます。

また、一般的にミドルリスク・ミドルリターンと評されることもある不動産投資を加えて、それぞれの特性をご紹介します。

2-1.投資信託

投資信託は、資産運用のプロであるファンドマネージャーに資金を預けて、債券や株式の選定から運用まですべてを任せられる投資先です。

ミドルリスク・ミドルリターンの代名詞ともいえる投資商品であるため、投資信託について解説する本やネット記事も多く、事前の情報収集は容易でしょう。

また投資信託の類似商品として、証券取引所でリアルタイムに取引できるETF(上場投資信託)や、不動産に特化したETFともいえるREIT(不動産投資信託)があります。

それぞれ以下のような特徴を持っています。

項目 投資信託 ETF REIT
最低取引額(目安) 数百円 数万円 数万円
価格変動 1日に1回算出 リアルタイムに変動 リアルタイムに変動
税制優遇制度 つみたてNISAやiDeCoが利用可能 NISAが利用可能 NISAが利用可能

ETFやREITは証券取引所で売買できるため、リアルタイムに変動する価格を見ながらトレードができます。

ただし、投資信託をはじめその派生商品であるETFやREITは、どちらかといえば長期的な運用を前提とする投資商品です。

そのため「リアルタイム性のある環境で取引したい」「不動産にのみ絞って投資をしたい」といった特別な理由がなければ、より少額かつ複数の税制優遇制度が用意されている投資信託が選択肢として無難でしょう。

税制優遇制度のうち、つみたてNISAの仕組みは以下の記事で解説しています。あわせてご参照ください。

2-2.配当金・株主優待を狙った株式投資

一時期話題となったデイトレードの流行により、株式投資は1日に何度も取引を繰り返すようなイメージがあります。

しかし、実際には数年から十数年スパンの長期投資を実践するケースもあり、そのなかでも配当金や株主優待を狙った株式投資はミドルリスク・ミドルリターンに分類されます。

項目 概要
配当金 企業から株主に対して分配されるお金
株主優待 企業から株主に対して進呈される自社製品・株主優待券

配当金や株主優待は「株式の売買」ではなく「株式の保有」によって得られるため、株式を持ち続けるだけでリターンを得られます。

配当金や株主優待を還元する企業を事前にリサーチさえすれば、高度な知識を要するトレードが必要になることはないため、労力や時間を奪われることもありません。

ただし投資先の業績悪化により、配当金や株主優待が廃止される可能性がある点には留意してください。

2-3.非上場ファンド

非上場ファンドは、出資者の一員となり間接的に事業へ参画できる枠組みです。

投資信託も非上場ファンドに分類される投資商品ですが、認知度が高く「投資信託」という1つのカテゴリーで扱われることが多いため、ここでも投資信託と切り離して非上場ファンドを解説します。

非上場ファンドは不動産事業を扱うものや太陽光発電事業を扱うものなど、出資先となる事業内容の幅が広く「非上場ファンド」と一口にいってもバリエーションは豊かです。

投資信託や株式のように短期間のうちに手放すことはできず、基本的には契約によって中途解約が制限されています。

一見すると中途解約できないことはデメリットに思えますが、流動性が低いため保有資産の価値が暴落する可能性は低く、売買が行われないため日々の市場分析やトレードも必要ありません。

以上の点から、非上場ファンドは本業が多忙な人に適した投資先だといえるでしょう。

弊社が提供している太陽光発電ファンドも、日本の電力供給を支える太陽光発電事業へ出資できる非上場ファンドです。環境保全に貢献しつつ、売電収入にもとづく収益の一部を得られる投資商品であるため、ミドルリスク・ミドルリターンの投資先を探す際には候補の1つとしてご検討ください。

2-4.不動産投資

不動産投資をミドルリスク・ミドルリターンの投資先として挙げるメディアは多いのですが、すべての不動産投資が中程度のリスク・リターンにあるわけではありません。

とくに金融機関から借入れを行って始める流れになった場合、運用をスタートした物件に入居者がつかなければ利益は得られず返済が滞ります。

結果として、本業の給与を返済に充てるなどの対応が必要になるため、借入れを前提とした不動産投資はハイリスク・ハイリターンな部類に入るといえるでしょう。

日本国内で不動産需要がどんどんと高まるような動きがあれば別ですが、基本的には「自己資金で始めるケース」や「ごく少額な借入れで始めるケース」に限りミドルリスク・ミドルリターンだと評価できます。

3.ローリスク・ハイリスクな資産運用の具体例

ミドルリスク・ミドルリターンな投資のほかにも、ローリスク・ローリターンやハイリスク・ハイリターンな選択肢があります。

それぞれ、どのような資産運用が該当するかご説明します。

3-1.ローリスク・ローリターンな資産運用

ローリスク・ローリターンな資産運用は、投じた資金が大きく増えたり減ったりすることがないものを指します。

代表例としては以下が挙げられます。

  • 銀行預金
  • 日本国債

銀行預金はペイオフと呼ばれる制度により、預金1,000万円までとその利息の払い戻しが保証されていますが、その代わりに利率が極めて低く資産はほとんど増えません。

現実的な意見として「お金を増やすための選択肢には入らない」といえるでしょう。

日本国債(日本が発行する債券)は、企業が発行する「社債」や地方公共団体が発行する「地方債」に比べて安全度が高く、破綻の可能性が極めて低い投資先です。

銀行預金よりわずかに利率は高いものの、日本国債の運用だけで資産を大きく増やすことはほぼ不可能です。そのため、銀行預金より少しでも利率の良い選択肢を探す場合には候補となるでしょう。

3-2.ハイリスク・ハイリターンな資産運用

ハイリスク・ハイリターンな資産運用は、投じた資金が短期間のうちに大きく増えたり減ったりするものを指します。

代表的な例である以下をはじめ、短期間のうちに多額の利益を得られる可能性が示唆される資産運用は、その大部分がハイリスク・ハイリターンな投資先だと判断して良いでしょう。

  • レバレッジ取引による株式投資・FX
  • 仮想通貨(暗号資産)

株式投資やFXにおけるレバレッジ取引とは、投資用口座に入れた自己資金を担保として、元手の数倍の金額を使ったトレードを可能とする方法です。

たとえばレバレッジが3倍なら、自己資金が50万円だったとしても150万円相当の取引ができるのです。

これにより本来の3倍の利益を得ることが可能になる一方、本来の3倍の損失を生む可能性もあります。

場合によっては入金した自己資金を超える損失が生じるため、厳重なリスク管理のもと行わなければ大損失の原因になるでしょう。

近年たびたび話題にのぼる仮想通貨も、資産運用のなかではハイリスク・ハイリターンな選択肢だといえます。 わずか1年で数倍の価格変動が起こったケースも多く、これはいいかえると「1年のうちに資産が数分の1になる」という可能性の裏返しでもあるからです。

世界的なトレンドだからといって、運用すれば確実に利益が得られる投資先ではないことに留意しなければなりません。

4.投資初心者はどのような資産運用から始めるべき?

生活費から切り離された余剰資金を用意できているか、まだ用意できていないかによって推奨されるプランは変わります。

すでに余剰資金がある場合はミドルリスク・ミドルリターンの資産運用から始めることを推奨します。

ローリスク・ローリターンの資産運用はより安全な選択肢ではありますが、目に見えて資産が増えることはありません。

そのため資産運用の目的が「将来のために資産を少しでも増やすこと」であれば、多少のリスクをとってミドルリスク・ミドルリターンの資産運用からスタートすべきでしょう。

一方、余剰資金がなければローリスク・ローリターンの資産運用から始めることを推奨します。

仮に投資資金を生活費から捻出した場合、損失を出してしまえば生計に支障が出る懸念があるからです。

資産運用により失っても実害のない余剰資金を用意できるまで、銀行預金や日本国債といった変動の小さい投資先を選ぶことで資産の守りを固められます。

5.まとめ

一向に資産額が変動しなかったり、許容範囲外の損失が生じたりするケースは、そのほとんどが投資先のリスク・リターンを見誤ることで起こります。

多少のリスクを許容してリターンを狙うのか、よりリスクを抑えて余剰資金を貯めるべきか、現状と本記事の内容を照らし合わせて判断材料の1つとしてみてください。


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