初心者が始めやすい資産運用の種類と注意点を解説

 

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老後に不安があったり、勤務先の倒産やリストラを懸念していたり、経済面の心配から「そろそろ資産運用を始めておきたい」と考えていませんか?

資産運用は種類が多く、複雑で難しいイメージもありますが、初心者でも始めやすい選択肢はあります。

この記事では、投資初心者が始めやすい資産運用の種類と注意点について解説します。

何から始めればいいのかわからない」という方は、投資方針を込めるコンパスとしてご活用ください。

1.資産運用とは

資産運用とは、自身の資産を預金・投資にあてることで、総資産額を増やすことです。

より堅実に資産額を増やしたいなら「預金」、より大きく資産額を増やしたいなら金融商品を運用する「投資」といったふうに、利益を増やせる可能性・減ってしまう可能性をてんびんにかけつつ、運用方法を決めることとなります。

なお、投資に分類される資産運用は、原則として元本割れ(投じたお金が全額戻ってこない)のリスクがあることに留意してください。

投じたお金を増やす手段として、短期的な利益獲得のために金融商品を売買する「投機」や、競馬や競艇などの「ギャンブル」が挙げられますが、投資は長期的な観点で資産を増やしていくことを指します。

2.資産運用の種類

資産運用は、2種類に大別できます。

  • 預金:銀行、信用金庫などへの預金による貯蓄性の高い資産運用
  • 投資:金融商品、不動産などの運用により利益を得る資産運用

ここでは預金と代表的な6つの投資を解説します。おすすめの方法をご紹介する前に、どのような資産運用があるのか確認し、資産運用について理解を深めていきましょう。

2-1.預金

銀行や信用金庫にお金を預けておくと利息がつき、わずかですが資産額は増えるため、預金も資産運用の一つだといえるでしょう。預金にはいつでも引き出しができる普通預金と、一定期間引き出しができない定期預金、毎月定額を積み立てる積立式定期預金などがあります。

預金先の銀行が破綻した場合、ペイオフと呼ばれる仕組みにより「1金融機関、1預金者ごとに元本1,000万円と利息等」が保護されることとなっており、それを超える部分も破綻した金融機関の財産状況に応じて払い戻しが行われます。

預金は金融機関が破綻しなければ元本(投じたお金)が保証され、万が一の場合にもペイオフによって元本1,000万円までは払い戻しが行われるため、安心感のある資産運用の一つです。

ただし、近年は低金利が続いているため、預金だけで資産が大きく増えることはありません。

2-2.債券

債券とは、国や企業などが資金調達のために発行する有価証券のことです。

通常、債券を購入すると利息が利払日に支払われ、償還日に債券の券面に記載されている金額(額面金額)が払い戻されます。

国が発行する国債は安全度が高いですが、企業や地方公共団体などが発行体となっている債券は、破綻や経営悪化によって利息の支払いが滞ったり、投資元本を割り込んだりする可能性もあります。

2-3.株式投資

株式投資は、企業が発行している株式を売買・運用し、売買時の差額や企業から分配される配当金によって利益を得る資産運用です。株式投資によって利益を得る方法は、つぎの3つです。

値上がり益

株価は毎日動いています。購入したときよりも高い株価で売却できれば、その差額が利益になります。ただし、値下がりした場合は損失が出ることに留意してください。

配当金

配当金とは、決まった時期に企業から株主に還元されるお金です。すべての会社が配当金を設定しているわけではないため、あらかじめ1株あたり何円の配当金が受け取れるのか確認しておきましょう。

株主優待

株主優待制度のある企業の株式を購入すれば、投資先の企業に関連する優待券や商品などを受け取れます。保有株数によって優待内容が変わることもあります。

2-4.投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を資産運用の専門家であるファンドマネージャーが運用し、債券や株式などに投資する仕組みの金融商品です。投資先の傾向や投資手法は、投資信託ごとの運用方針にもとづきファンドマネージャーが決定します。

株式や債券は銘柄(投資先の種類)が多く、投資するタイミングの判断は見極めが難しいため、投資先や運用方針をファンドマネージャーに委ねられる投資信託は、投資初心者に適した金融商品だといえるでしょう。

投資信託は、間接的に株式や債券に投資をする金融商品であるため、運用成績はおおむね金融市場の動向に連動します。

つまり、日本企業の株式に広く投資する投資信託は、日本の景気が良くなると運用成績も好調になり、日本の景気が悪化すると運用成績も不調になる傾向にあります。

2-5.不動産投資

不動産投資とは、不動産の賃貸や売買により収益を得る資産運用です。わかりやすくいえば、大家になることです。

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資手法といわれています。

ほかの選択肢と同様に不動産にも価格変動はありますが、株式のように短期間のうちに価格が大変動するリスクは小さく、預金や債券による運用に比べて高いリターンが望めるからです。

ただし、不動産の入居者が集まらなかったり、売却価格が購入価格を下回ったりする場合もあるため、必ずしも投資額以上の利益が出るわけではありません。

2-6.太陽光発電投資

太陽光発電投資とは、太陽光発電設備により発電した電力を、電力会社に売却して利益を得る資産運用です。

発電出力が10kW以上の事業用太陽光発電設備は、「固定価格買取制度」によって発電した電気を一定の価格で20年間買い取ってもらえます。

制度の適用期間は、電力の買取価格が市場動向の影響を受けないため、想定通りの日射量を確保できれば安定的な利益を得られます。

固定価格買取制度の詳しい解説を含め、先ほどご紹介した不動産投資と太陽光発電投資の比較ポイントを、以下の記事にまとめました。

株式や債券などの証券ではなく「どっしりと存在感のある実物資産を運用したい」とお考えであれば、こちらをご参照ください。

3.金融商品のリスクとリターンを把握する

資産運用のために金融商品へ投資をする前に、リスクとリターンの関係性について理解しておく必要があります。

  • リスク:資産運用におけるリターンの振れ幅
  • リターン:資産運用により得られる利益(損失が出る可能性を含む)

たとえば「リスクが大きい」という表現は、利益を得られるか損失が出るかが不確実であり、リターンの振れ幅が大きいことを指します。

金融の世界では、リスクとリターンは比例すると考えられており、リスクが小さいほどリターンも小さくなり、リスクが大きいほどリターンも大きくなる傾向にあります。

よって、リスクが小さくリターンが大きい、ローリスク・ハイリターンの金融商品は存在しません。

4.金融商品のリスク

金融商品には、主につぎの5つのリスクがあります。

本章におけるリスクは、もたらされる結果が不確実であることを指します。

4-1.価格変動リスク

経済や社会状況により、金融商品の価格が変動するリスク。

4-2.金利変動リスク

金利の変動によって、金融商品の価値が変動するリスク。

4-3.為替変動リスク

為替変動により、手取り金額が変動するリスク。

外国の通貨で売買を行う「外貨建ての金融商品」では、円と外国の通貨の為替相場が変動することによって、運用している資産の価値が変わるリスクがあります。

円高になると円での手取り金額が減り(為替差損)、円安になると円での手取り金額が増えます(為替差益)。

4-4.信用リスク(デフォルトリスク)

投資した国や企業が破綻するリスク。投資先が破綻した場合、投資額を回収できない可能性があります。

4-5.流動性リスク

市場に金融商品の買い手・売り手が少なく、任意のタイミングで取引できないリスク。

金融商品によっては、取引相手が少なく金融商品の売買が成立しないケースがあります。

流動性リスクが招く具体的な問題としては、保有資産の現金化を希望しているにもかかわらず、一向に換金できない可能性があります。

5.初心者におすすめする3つの資産運用

どのくらいリスクを取って、リターンを追求するのかによって、初心者に適した資産運用は異なります。

ここでは、以下を「初心者におすすめの資産運用」として解説します。

  • 個人向け国債
  • 投資信託
  • 配当金や株主優待の獲得をメインとした株式投資

いずれも比較的リスクが小さい方法ですが、上から下に進むにつれて、徐々にリスクとリターンが大きくなっていきます。

なお、預金は安全な資産運用の一種ではあるものの、現状の日本ではほとんど利息がつかず、お金を受け取れないため除外しました。

5-1.個人向け国債

個人向け国債は、国が発行している債券です。一般的に、日本が発行している債券を指します。

投資先が日本であるため破綻のリスクが小さく、リターンは預金より大きい傾向にあるため、預金では物足りないと感じつつも、安心できる投資先を探している場合に個人向け国債は有力な候補です。

ただし、国債が発行されてから1年間は中途換金ができません。

また、満期を迎える前に中途換金した場合は「中途換金調整額」を差し引かれるため、受け取れる利息はわずかになってしまう点に留意してください。

5-2.投資信託

投資信託は、投資家から集めたお金をファンドマネージャーに預けて、間接的に株式や債券へ投資をする金融商品です。類似する金融商品として、ETF(上場投資信託)が存在します。

  • 投資信託:上場しておらず、リアルタイムに証券取引所で取引できない
  • ETF:上場しており、リアルタイムに証券取引所で取引できる

投資信託は数百円程度の少額から投資できる一方、一日のうちに複数回売買を繰り返すことができません。

対してETFは、投資信託よりも最低投資額は大きい傾向にあるものの、一日のうちに複数回売買できるため、短期的な利益獲得のために金融商品を売買する「投機」が可能です。

ただし、金融市場の動向に詳しくない初心者ほど、短期的な運用成績に一喜一憂しない長期投資が適しているため、短期投資ができない代わりに少額から運用できる投資信託をおすすめします。

なお、つみたてNISAと呼ばれる制度を利用することで、一部の投資信託は運用収益に課せられる税金が非課税になります。

よりお得に投資信託の運用を始めたい場合は、以下の記事もあわせてご参照ください。

5-3.株式投資

株式投資のうち、配当金や株主優待の獲得をメインとした運用は、初心者にも始めやすく投資によりリターンを獲得する感覚も得られます。

株式投資は、売却価格が購入価格を上回ったときに発生する「値上がり益」をねらう手法が広く知られていますが、株価(株式の価値)は毎日変動しており売却タイミングの見極めは容易ではありません。

一方、配当金や株主優待は、決まった日時を迎えるまで株式を保有していれば、それぞれ自動的に保有者の口座や住所にリターンが届きます。

保有する株式に配当金・株主優待が設定されている限り、売却のタイミングを気にすることなくリターンを得続けられるため、資産運用の足掛かりとして適しています。

ただし、投資先の企業の業績が悪化したり、事業に変更が加わったりした際は、配当金や株主優待の条件変更や廃止が行われる点や株価が変動する可能性に留意してください。

6.まとめ

資産運用にはさまざまな種類があります。それぞれの特徴を理解し、どのくらいのリスク・リターンがあるのか調査したうえで始めることをおすすめします。

なお、太陽光発電投資に関心があるものの、実物資産であることや必要投資額が大きいことに不安を感じている場合、太陽光発電ファンドと呼ばれる金融商品が投資候補として有力です。弊社が提供する『ソライチファンド』を含む、太陽光発電ファンドの仕組みやメリット・デメリットについて、以下の記事で解説しています。

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上記のような点に魅力を感じるなら、ぜひこちらの記事をご参照ください


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