投資初心者は何から始めるのが正解?具体的なステップとおすすめ少額投資3つ

 

この記事の目次

「投資初心者におすすめの投資は何ですか?」

投資経験が長くFPでもある筆者は、このように聞かれることが多いです。

初心者向きの金融商品は数多くあります。

ただ、何に投資するのかを考える前に、初心者にしてほしいのは投資環境の確認・整理。

そして「少額でいいので、経験を積みましょう」とお伝えしています。

なぜなら、経験なくして自身に適した投資はわからないからです。

この記事を読めば、投資を始める際の具体的なステップと初心者向きの少額投資がわかります。

「何から始めたらいいかわからない」「投資先選びで迷っている」という人は参考にしてください。

【ステップ1】投資に回せる資金を確認する

預貯金のうち、投資に回せる「余裕資金」はいくらあるのかを明確にしましょう。

余裕資金は各家庭によって異なりますが、一般的な目安は預貯金から生活防衛費を除いた資金です。

・生活防衛費とは:毎月の生活費の数か月分。病気やケガ・失業など、なんらかの事情で収入がなくなった時でも一定期間生活するために必要な資金

このほか、毎年支払う自動車税などの各種税金、数年以内に必要なまとまった資金を投資資金から切り分けておくと安心です。

くれぐれも、預貯金の全額を投資に回すのはやめましょう。

生活費や預貯金のすべてを投資にあてると、気持ちに余裕がなくなり、冷静な判断ができなくなります。

その結果、早く利益を得ようと焦ってハイリスクな投資に手を出したり損切りしたりなどして、投資に失敗してしまう人は少なくありません。

初心者が簡単に、短期間で確実に利益を得られる投資はありません。

堅実な投資をしたいのなら、資金面・精神面ともにゆとりを持って、冷静な判断ができる環境を整えることが大切です。

[ステップ2]投資の目的や投資できる期間を整理する

投資資金を明確にしたら、次は投資する目的や投資期間を整理します。

・投資する目的=何のために資金を使いたいのか(例:子どもの教育費)

・投資期間=いつ使いたいのか(例:子どもが大学に入るとき)

上記の2つを整理するとわかりやすいでしょう。

教育費か老後資金か、それとも住宅の購入費用か。

投資して築いた資金を何に・いつ使いたいのかを整理してみてください。

具体的な使い道がなく「将来のために投資を始めておきたい」「節税できると聞いたから」という方は、それが目的でいいでしょう。

今から使い道を決めておく必要はありません。

大切なのは目的を確認し、手元の投資資金を運用できる期間はどれくらいあるのか整理することです。

ステップ1で確認した投資資金とあわせて自身の投資環境を見直し、何のために、いくら、何年くらい投資できるのかを整理してみてください。

【ステップ3】少額投資で経験を積む

ステップ1~2で投資環境の確認と整理ができたら、まずは少額投資で経験を積んでいきましょう。

実際に自分のお金で投資を体感してみないと、投資に対する自分の価値観に気付けません。

ひと口に「初心者」と言っても、自身の資産が減ったとき・増えたときにどのように感じるかは人それぞれ。

「リスクをとってもいいから、もっと積極的に運用して増やしたい」と思う人もいれば、「相場の変動で一喜一憂するのは嫌。値動きが気にならない、リスクの低い投資がいい」と思う人もいます。

こうした投資の価値観は、身銭を切って初めて見えてくるものです。

自分に合う投資方法を知るためにも、少額投資で小さな体験を積み重ね、自身の投資に対する価値観を知りましょう。

投資初心者におすすめの少額投資3つ

投資初心者におすすめの少額投資は、数百円~数万円程度で始められる以下の3つです。

1.月々数百円からできる「つみたてNISAの投資信託」

2.月々数千円からできる「少額の株式投資」

3.月々1万円からできる「ロボ・アドバイザーのETF」

まずはいろいろ試して自身の価値観を知り、もっと深掘りしたい投資があればより深く勉強していくのがおすすめです。

それぞれの少額投資について解説していきます。

【おすすめ1】つみたてNISAで投資信託

通常、投資で得た利益には約20%の税金が課せられます。

10万円の利益が出ても、そのうち約2万円は税金として差し引かれるのです。

この差し引かれる税金を、長期間かからないようにする税優遇制度が「つみたてNISA」です。

<つみたてNISAとは>

・長期の積み立て投資を後押しする税優遇制度

・口座内の投資で得た利益にかかる税金が非課税になる

・年間40万円まで、最長20年間非課税投資できる

・口座内で投資できる商品は、長期の分散投資に適した投資信託のみ

「つみたてNISA」は制度の名前であり、実際に投資する金融商品は「投資信託」です。

投資信託は株や債券、不動産といった種々の資産がパック詰めされた投資のパッケージ商品。

いわばあらゆる投資の幕の内弁当です。

証券会社によっては月々100円から積み立て購入できます。

少額で始められますし、投資タイミングに迷うこともありません。 初心者でも気軽に始めやすいのではないでしょうか。

【おすすめ2】少額でできる株式投資

「投資を始めるなら株式投資」と考える人は多いと思います。

ところが、国内の上場株式を購入するには数万円~数百万円の資金が必要です。

投資資金が多いうえに株式銘柄の種類も多いため、初心者には少しハードルが高い部分があるのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが、数千円程度から株を購入できる少額の株式投資。

少額の株式投資は「単元未満株取引」とも呼ばれ、通常は100株からしか購入できない企業の株を1株から購入できるようにした投資方法です。

証券会社によって仕組みや最小投資金額は異なりますが、以下の点は共通しています。

<少額でできる株式投資:単元未満株取引とは>

・投資資金が少なくても株式投資ができる

・通常は100株単位で購入必要な株を1株から購入できる

・株主優待はないが配当金は得られる

・証券会社によってはスマホで手軽に注文できるサービスがある 通常は数百万円するような大企業の株でも、単元未満株取引であれば数千円程度の少額投資ができるのは大きな魅力です。

投資金額が少額であれば、株式市場の値動きにも比較的耐えやすく、いろんな銘柄を購入できます。 株式投資を始めたいけど投資資金が少ない人や、いきなり何万円も投資するのが怖い人は、こうした少額投資で経験を重ねてみるのがおすすめです。

【おすすめ3】ロボ・アドバイザーでETF

ロボ・アドバイザーとは、ロボットが全自動で資産運用をしてくれる新しい金融サービスです。

資産運用のアドバイスのみのサービスと運用を一任できるサービスがあり、今回おすすめするのは後者の一任型。

一任型なら、投資や商品について詳しくない場合でも、最初にいくつかの簡単な質問に答えるだけで気軽に資産運用サービスを始められます。

<一任型のロボ・アドバイザーサービスとは>

・AIが投資家にあわせたポートフォリオを自動で作成し、投資・運用する商品の選定から実際に購入・運用まですべてを行ってくれる

・投資家は最初にいくつかの質問に答えるだけでいいため、運用に関する手間がかからない

・投資・運用商品は運用会社によって異なるが、上場投資信託であるETFが使用されていることが多い

・運用会社によっては、投資で得た利益が非課税になる「一般NISA制度」を活用して投資できる

このとおりロボ・アドバイザーサービスでは、投資家がするべきことはほとんどありません。

投資に苦手意識のある人や、忙しくできる限り投資に時間をかけたくない人にもおすすめです。

複雑な予備知識なしに始められる点については、もっとも初心者向きと言えるでしょう。

ただし、ロボ・アドバイザーの初期投資資金は10万円程度かかります。

中には1万円程度で始められる運用会社もありますが、口座開設時に10万円、その後は1万円から積み立て設定をする会社が一般的です。

先にご紹介したつみたてNISAや株式の少額投資と比べると、必要となる資金はやや多めと言えます。

投資を検討する際は、事前に各運用会社へ口座開設時に必要な資金などを確認するようにしましょう。

5.まとめ

何かを始めるときは、基本を身につける必要があります。

ただ、本で基本を学ぶだけでは自分自身のリスク耐性やリターンへの欲求、投資の価値観はわかりません。

そのため筆者が投資初心者におすすめしたいのは、少額でいいので投資経験を積み重ねることです。

以下の3つの少額投資は初心者にもおすすめです。

1.つみたてNISAでの投資信託

2.少額(単元未満株取引)での株式投資

3.ロボ・アドバイザーでのETF

なお少額投資を始めるときは、以下のポイントに気をつけてください。

・投資に回せる余裕資金はいくらあるのか確認しておく

・預貯金から生活防衛資金や数年以内に必要な出費を差し引いた金額が、余裕資金の目安

・投資の目的や使い道、投資に費やせる期間を明確にしておく

初心者にしてほしいのは投資環境の確認・整理。そして少額投資による経験です。

身銭を切ってリスクとリターンを実際に体感してから、より興味・関心がある投資を深掘りしていきましょう。


前へ

賃貸管理会社の選び方のポイントを解説

次へ

太陽光発電は売電できなくなる?卒FIT後はどこに電気を売るの?