不動産運用で成功するためには?メリットやリスクを理解して着実な資産形成をしよう

 

この記事の目次

資産運用手段のひとつとして、不動産運用が挙げられます。

不動産運用はミドルリスク・ミドルリターンといわれ、株式やFXのように短期間で相場が大きく左右するようなことはなく、景気動向にも強いことが特徴です。

また、普通預金や定期預金に預けているよりは高い利回りが期待できることから、投資家に根強い人気を誇っています。

そこで今回は不動産運用で成功するために知っておきたいことはもちろん、メリットやリスクについてもまとめてみました。

いま不動産運用が注目されている

出生率が減少し、超高齢化社会に突入しているといわれる日本。

2020 年9月に総務省が発表した統計資料によれば、日本における高齢者の数は3617万人と人口全体の28.7%を占めています。

また、2040年にはその割合が35.3%となり、現役世代が1人で3人の高齢者を支えていかなければならない未来から逃れるのは難しいといえるでしょう。

そうした中、年金制度への不安や平均寿命の上昇に伴い、将来のお金に対する不安を抱えている人も少なくありません。

そこで、老後に備えた資産運用手段のひとつとして、いま不動産運用が注目を集めています。

なぜ不動産運用なのか

不動産運用が注目されている理由の一つとして、不動産運用で得られた利益を年金の代わりにしようと考える、若い世代の人が増えていることが挙げられます。

また、2016年2月から日銀が始めたマイナス金利政策によって不動産運用ローンの金利が下がり、不動産運用を始めるにあたっての参入障壁が低くなったことも追い風となりました。

そして、自身が死んだ後も残された家族の手元にはマンションが残り、毎月一定の家賃収入が見込めることから生命保険代わりに不動産運用を始める人もいます。

そもそも不動産運用とは

不動産運用とはマンションやアパートをはじめとした不動産を所有し、それらを管理・運用して収益を得る仕組みのことです。

ここでいう「運用」にはさまざまな方法がありますが、代表的には以下の2つのやり方で収益を得ます。

  • 不動産賃貸で家賃収入を得る
  • 所有している不動産を売却して売却益を得る

上記でいう「家賃収入」と「売却益」のことをそれぞれ、インカムゲインとキャピタルゲインというので、具体的に見ていきましょう。

インカムゲイン方式

不動産物件を購入し、それらを人に貸すことによって毎月一定の収益を得る方法のこと。ここでいう収益とは、主に家賃収入を指します。

インカムゲインでは一度に大金が舞い込むことはありませんが、長期にわたって安定した収益を得られるのがメリットです。

とはいえ、定期的に不動産の修繕やリフォームを行うなど、空室リスク対策をしっかりと行う必要があるでしょう。

キャピタルゲイン方式

対するキャピタルゲイン方式とは、購入した不動産に対してリフォームやリノベーションを施し、価格が上昇した時点で不動産を売却して利益を得る仕組みのことをいいます。

インカムゲインよりまとまったお金を得られる確率は高いものの、ギャンブル的な側面も強く、不動産運用初心者がいきなりキャピタルゲイン方式から始めるのはおすすめしません。

また、主に老後に向けた資産形成に主軸を置いているのであれば、まずはインカムゲイン狙いで不動産運用を始めると良いでしょう。

不動産運用をおこなうメリット

不動産運用をおこなう主なメリットを3つ、挙げてみました。

  • インフレの影響を受けにくい
  • 私的年金形成の一手段となる
  • 生命保険や死亡保険の代わりになる

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

インフレの影響を受けにくい

インフレーション、通称インフレとは物の価値が上がってお金の価値が下がることを指します。

当然、お金の価値が下がれば、普通預金などに預けている現物資産の価値も下落します。

老後に備えて2,000万円の貯金をしたはずなのに、その価値が半分ほどになってしまうことだってあるかもしれません。

一方、不動産運用であれば物価の価格が上昇するに伴い不動産の価格も上昇することから目減りしにくく、インフレに強いといった特徴があります。

また、同様にデフレの影響も受けにくいことから、現物資産に比べて安定した資産であるといえるでしょう。

私的年金形成の一手段となる

不動産運用では所有物件を適切に管理・運営できれば、長期にわたって安定的な収益を得られます。

仮に会社を退職したとしても、家賃収入は引き続き得られることから、老後の私的年金として利用できるでしょう。

公的年金の受給開始年齢が後ろ倒しになっていることに加え、受給額の目減りが進むといわれている昨今において、安定して一定の収入が得られるのは心強いはずです。

生命保険や死亡保険の代わりになる

一般的に、不動産運用を行う際は団体信用生命保険(以下、団信)に加入する必要があります。

団体信用保険とは、ローンの返済中に投資家本人が亡くなるなど万が一のことがあったとき、残りのローンの支払いが免除される保証制度のことです。

そのため、投資家本人が返済不能に陥った場合でも残された家族にしわ寄せがいくことはなく、不動産がそのまま手元に残ります。

残された不動産から得られる家賃収入で生活費を補うもよし、売却して生命保険や死亡保険の代わりに利用するもよしと、汎用性の高さも不動産運用ならではのメリットです。

不動産運用のリスク

ここまで、不動産運用のメリットについてお伝えしましたが、当然リスクやデメリットも存在します。

メリットとデメリットの双方をしっかりと把握したうえで、不動産運用を始めるようにしましょう。

空室リスクがある

不動産運用と切っても切れない関係にあるのが、空室リスクです。

貸していた部屋が空室になってしまった場合、当然家賃収入はゼロとなり、すぐに次の入居者が決まるとも限りません。

しかし、家賃収入が下がった場合でも残債があればローン返済をしなければならず、管理費や修繕積立金および固定資産税などを支払う必要もあります。

最悪の場合、自己資本を切り崩して返済しなければならないケースもあることから、不動産運用をする上では空室リスク対策を講じることが極めて重要です。

具体的には普段から修繕やメンテナンスを心がけ、空室が出たら速やかに次の入居者が入れるように準備を進めるようにしましょう。

また、エレベーターの交換や外壁塗装など、大規模な修繕が将来的に予測される場合、早いうちから修繕費用の積み立てを行うことが大切です。

不動産価値下落リスクがある

空室リスクと並び、不動産運用では不動産価値下落リスクも存在します。

これは不景気や周辺環境の変化により、購入した不動産の価値が将来的に下落するリスクのことです。

また、市場の変化によっては不動産の売却が思うようにいかず、資金流動化リスクも生じるおそれがあるでしょう。

これらのリスクを極力減らすためにも、資産運用としての不動産を選ぶ際は周辺環境等もあわせて慎重に検討する必要があります。

それなりの初期費用がかかる

不動産 運用をするための物件を購入する際、目安として物件価格の8~10%ほどの初期費用が必要になるといわれます。

初期費用の内訳として、不動産登記費用や仲介手数料、各種税金などが含まれます。

そのため初期費用としてある程度まとまったお金がいることに加え、金融機関からの借入金もあわせて考えると、それ相応のリスクを背負うのだということを頭に入れておきましょう。

不動産運用を成功させるためのポイント

不動産運用におけるメリットおよびリスクを把握したところで、不動産運用を成功させるためのポイントについて取り上げていきます。

できるだけ立地のよい物件を選ぶ

利回りや稼働率など重視すべきポイントはいくつかありますが、不動産運用を始める際はまずなんといっても立地を重視しましょう。

内装や外装であれば、ある程度リフォーム等で改善できるものの、立地だけはどう頑張っても変えることができません。

そのため、物件購入時には自身がターゲットとする入居者層にあわせた立地を見極めることが重要です。

不動産運用以外でも分散して投資をする

本当の意味で、リスクを抑えるためには不動産だけに投資用資金を投入せず、他の資産にも分散して投資をすることが大切です。

不動産運用だけで賄おうと、すべての資金を不動産に費やしてしまうと、先述したような空室リスクや不動産価値下落リスクが生じた際に身動きが取れなくなってしまいます。

そのため、株式投資や債権、外貨など他の金融商品にも分散して投資をするように心がけるとよいでしょう。

また、不動産運用は長期的な視野での投資となるため、投資期間に差をつけて分散投資をするのもひとつの手です。

信頼できる管理会社を見つける

不動産運用をする上で、不動産管理会社と良好な関係を築いておくことはとても大切です。

入退去に関するトラブルはもちろん、入居者同士のトラブルも管理会社が間に入ってくれることから、管理会社の腕が入居者の満足度に大きく関わっているといっても過言ではありません。

そのため、何も考えずに紹介された管理会社を利用するのではなく、インターネットや本などできちんと情報を集め、自身の判断で管理会社を決めるようにしましょう。

まとめ

今回は不動産運用のメリットやリスク、そして実際に不動産を管理・運用する際のコツについてお伝えしました。

入居者がいれば、自身のリタイア後も毎月安定して家賃収入を得られることに加え、生命保険や死亡保険の代わりとして利用することも可能です。

とはいえ、元本が保証されているわけではなく、空室リスクや不動産価値下落リスクもあることから、不動産運用を始める前に資産運用計画をしっかりと練っておくようにしましょう。

この記事が少しでも参考になっていれば、幸いです。


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