集団投資スキームとは?投資家が知っておきたい基礎知識を解説

 

この記事の目次

集団投資スキーム

狭義のファンドに集団投資スキームがあり、一部を除いた投資型クラウドファンディングの多くは、集団投資スキームに該当します。ここでは投資家として知っておきたい集団投資スキームの基礎知識を解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 集団投資スキームとは、組合型ファンドの包括的定義の呼称
  • 組合型のファンド形態には複数の種類がある
  • 投資型クラウドファンディングの多くは匿名組合を用いた集団投資スキーム(ファンド)

1. 集団投資スキーム(ファンド)とは?

集団投資スキームとは、他者から金銭などの出資・拠出を受け、それを用いて事業や投資をおこない、その事業や投資から生じる収益などを出資・拠出者に分配する仕組みをいいます。また、金融商品取引法第2条第2項第5号及び6号では、集団投資スキーム(ファンド)及びその持分に係る権利を包括的に定義しています。
こうした権利は証券・証書といった紙券の有無に関係なく有価証券とみなされ、これらの権利を集団投資スキーム持分と呼んでいますが、集団投資スキームという呼称は金融商品取法では用いられていません。

集団投資スキーム持分の定義の構造

1. 権利を有する者(出資者)が金銭等を出資または拠出すること。
2. 出資または拠出された金銭等を充てて事業(「出資対象事業」)がおこなわれること。
3. 出資者が出資対象事業から生ずる収益の配当または当該出資対象事業にかかる財産の分配を受けることができる権利であること。

出資者全員が当該事業に関与する場合は除外されています。出資者は事業に関与せず、もっぱら資金運用者が運営する事業から産み出される利益を求めて投資する形態を意味します。「集団」とありますが、出資金が合同運用されることは、かならずしも要件とはなりません。

民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)
イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利
ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)
ハ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項に規定する保険業を行う者が保険者となる保険契約、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号に規定する事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第十条第二項に規定する共済事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十一号、第九十三条第一項第六号の二若しくは第百条の二第一項第一号に規定する事業を行う同法第二条に規定する組合と締結した共済契約、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第七項に規定する共済事業を行う同法第三条に規定する組合と締結した共済契約又は不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同条第九項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)に基づく権利(イ及びロに掲げる権利を除く。)
ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

金融商品取引法 第2条第2項第5号

外国の法令に基づく権利であつて、前号に掲げる権利に類するもの

金融商品取引法 第2条第2項第6号

集団投資スキームについては「ファンドとは?投資家として知っておきたい基礎知識を解説」で解説した通り、次のように分類できます。詳細は関連記事をご覧ください。

有価証券投資型ファンド(有価証券事業権利等)

運用財産の過半数(50%超)を有価証券に対する投資をおこなう事業であるものをいいます。

事業型ファンド

運用財産の過半数(50%超)が有価証券以外の方法で運用されるファンドのことをいいます。

組合型ファンドの「包括的定義」である「集団投資スキーム」(厳密には「集団投資スキーム持分」)は、金融商品取引法によって規制がなされていますが、不動産ファンドの一つである不動産特定共同事業契約に基づく権利(不動産特定共同事業法第2条第9項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)は、金融商品取引法第2条第2項第5号から除外されていますので、みなし有価証券ではありません。なお、不動産特定共同事業法第2条第9項に規定する特例事業者と締結した不動産特定共同事業契約に基づく権利はみなし有価証券となりますので、不動産特定共同事業法と金融商品取引法の両方の規制を受けることとなります。

不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同条第九項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)に基づく権利

金融商品取引法 第2条第2項第5号ハ

2. 組合型ファンドの形態

集団投資スキームとなる組合の形態には次の種類があります。

任意組合(NK)

任意組合とは、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約する合意によって成立する民法上の組合です。
任意組合のことをNKとも呼びます。

匿名組合(TK)

匿名組合とは、当事者の一方(匿名組合員)が相手方(営業者)の営業のために出資をなし、その営業より生じる利益の分配を受けることを約束する契約形態をいい、商法で規定された組合です。
匿名組合のことをTKとも呼びます。

不動産ファンドや太陽光発電ファンドでは、GK-TKスキームという仕組みを用いてファンドが組成されます。

投資事業有限責任組合(LPS)

投資事業有限責任組合とは、業務を執行する無限責任組合員および出資のみを行う有限責任組合員が結ぶ投資事業有限責任組合契約により成立する組合で、投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)に基づいて組成されます。
投資事業有限責任組合のことをLPSとも呼びます。

有限責任事業組合(LLP)

有限責任事業組合とは、有限責任事業組合契約に関する法律に基づいて組成される組合です。
有限責任事業組合のことをLLPとも呼びます。

3. ファンドを組成するときにどのように組合の形態を選択するのか?

集団投資スキーム(ファンド)に用いられる組合にはそれぞれの特徴があり、資金調達側と投資家側との思惑のバランスによって、それぞれの法的、会計的、税務的な見地からどの組合を用いるか選択することが多いでしょう。

投資型クラウドファンディングは、インターネットを用いて多数の投資家から小口で資金を集めるという性格から、一般的には、匿名組合の形態がとられています。匿名組合と他の組合形式との違いや特徴は関連記事をご覧ください。

弊社が取り扱うソライチファンド(太陽光発電事業を出資対象事業とする事業型ファンド)も匿名組合です。

4.まとめ

このように、集団投資スキームとは、組合型ファンドの包括的定義の呼称であり、金融商品取引法上の「みなし有価証券」です。みなし有価証券の取得勧誘をおこなうためには、金融商品取引業の登録が必要であり、金融商品取引業者(第二種金融商品取引業者)でなければ集団投資スキーム(ファンド)持分の取得勧誘をおこなうことができません。また、登録や届出を行っている業者についても、金融庁・財務局が、その業者の信用力等を保証するものではありませんので、登録業者等からファンドへの出資の勧誘等を受けた場合でも、その業者の信用力を慎重に見極めるとともに、取引内容を十分に理解したうえで、投資を行うかどうかの判断をすることが重要です。

集団投資スキームの組合には複数の形態があり、実務的には、ファンドを組成する際に、法的、会計的、税務的な見地からどの組合形態を用いるか選択します。

投資型クラウドファンディングのサービスが増えてきている今だからこそ、集団投資スキームについて正しく理解していただけると嬉しいです。

ポイント

1. 集団投資スキームとは、組合型ファンドの包括的定義の呼称
2. 法的、会計的、税務的な見地からどの組合を用いるか選択する
3. 投資型クラウドファンディングの多くは匿名組合の形態をとっている


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