太陽光発電に融資は必須?借入先である銀行・信販会社・日本政策金融公庫について解説

 

この記事の目次

投資目的で太陽光発電を始めるのであれば、融資はほぼ必須となるでしょう。そして融資の際、希望条件に近付けつつスムーズに借入を行うためには、主要な金融機関の特徴と傾向を把握しておかなければなりません。

ここでは、太陽光発電における融資の必要性、主な借入先や融資時の注意点についてご説明します。

1.太陽光発電に融資は必須なのか

まず、どのような場合に融資が必要となるのか、融資の活用によってどのようなメリットがもたらされるのか解説します。

1-1.投資目的の太陽光発電であればほぼ必須

自宅の屋根に太陽光発電設備を取り付ける場合、設備規模は10kW未満と小規模になるため、導入費用は100万~300万円程度に収まります。決して小さな金額ではないものの、借入を利用せず自己資金でも導入可能な範囲だといえるでしょう。

一方、個人が投資目的で太陽光発電事業をスタートするなら、導入費用は1,000万~2,000万円がおおよその相場です。1,000万~2,000万円を自己資金から捻出するのは困難であるため、投資目的の場合は基本的に融資がほぼ必須だといえます。

1-2.融資による「レバレッジ効果」とは?

融資の利用は借金を抱えることにほかなりませんが、投資の世界において借金は必ずしもネガティブな行為ではありません。融資を利用し、自己資金以上のお金を扱った大規模な投資をすることで、リターンを最大化できるのです。これをレバレッジ効果と呼び、借入をして投資することを「レバレッジを効かせる」と表現します。

以下の金額をそれぞれ年間利回り5%で運用すれば、1年後に得られる利益にはどれほど違いがあるでしょうか。

  • 自己資金100万円
  • 自己資金100万円+借入金900万円

前者は100万円に対して年間利回りが5%発生するため、1年間で5万円のリターンを得られます。一方、後者は1,000万円に対して年間利回りが5%発生するため、1年間で50万円のリターンを得られます。

融資を利用してレバレッジを効かせることで、上記のように自己資金のみの運用では到達できない水準のリターンを得られるため、スピーディーな資産形成が可能です。

2.主な融資の借入先3つを解説

融資を受けて太陽光発電を始める場合、借入先は主に3つ挙げられます。

金融機関 金利のイメージ 審査基準のイメージ
銀行 1~2%台 属性(年収・職種・勤続年数)を重視
信販会社 2.5%前後 基準は比較的易しく、審査は数日で完了
日本政策金融公庫 1~2%台 事業の意義、事業者の姿勢を重視

※金融機関・融資時期・設備条件等、あらゆる条件により金利や審査基準は変動します。

ここでは、借入先を検討する際に判断材料となる、各機関の特性についてご説明します。

2-1.銀行

銀行は、太陽光発電に融資を行う主要な金融機関の1つです。ただし2020年現在、銀行が個人へ積極的に融資を行っている印象は薄く、以下のケースを除いて太陽光発電事業に対する借入は期待できません。

  • すでに事業で実績があり、銀行と関係を築いている場合
  • 属性が高く評価される場合

属性とは、融資を希望する者の年収や職種、勤続年数など返済能力の判断に関わる事柄を指します。医師や士業といった平均収入の高い仕事に従事していたり、有名企業の社員としてのキャリアを築いていたり、客観的に「返済が滞る要因が少ない立場」であるほど属性は高く評価されます。

このほか家族構成や保有資産、持ち家の有無といった要素も審査結果を左右する一因です。とくにメガバンク(都市銀行)に分類される大手銀行は、優れた属性や事業実績がなければ個人の融資は極めて困難であり、そもそも主な融資対象を法人としています。

太陽光発電設備の設置場所を営業エリアとする地方銀行なら、メガバンクに比べて個人が取り合ってもらえる可能性は高くなりますが、各機関により基準は異なり融資の可否は世情や経済動向にも依存します。そのため、根気強く借入先を探す必要があるものと考えておく方が無難でしょう。

2-2.信販会社

信販会社は、販売信用取引(クレジット取引)を主業務とする会社です。いくつかの信販会社は、太陽光発電事業に対して「ソーラーローン」と呼ばれる融資を行っており、おおむね2.5%前後の金利で借入を行えます。

わずかな金利差でも返済総額に大きな影響があるため、「できる限り金利を抑えたい」といった局面で最初に候補となる借入先ではありません。しかし、融資の審査基準は比較的易しい傾向にあり、審査結果は数日で伝えられます。また、手続きに必要となる書類の少なさも一因となり、多くの個人投資家に利用されています。

事業の実績がなく、新規に太陽光発電を始めるのであれば、最もハードルの低い選択肢になるでしょう。

なお、あらゆる太陽光発電設備にすべての信販会社が利用できるわけではなく、投資案件によっては利用できる信販会社が固定されているケースもあります。特定の信販会社から融資を受けたい場合には、太陽光発電設備の販売業者に事前確認を取っておくと取引がスムーズです。

2-3.日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、全国各地に支店がある政府系の金融機関です。

2020年現在、新規に太陽光発電事業を始める個人に対し、積極的に融資をしているとはいえません。ただ、金利は信販会社よりやや低い傾向にあるため、属性に優位性がないなかで可能な限り金利を抑えたい場合には借入先の有力候補に挙がります。

担保や保証人の有無によって金利が変動する仕組みになっており、太陽光発電を融資対象とする「非化石エネルギー関連の融資」においては、本記事の執筆時点で以下の利率が適用されます。

融資を受ける条件 基準利率
「担保あり」の融資を希望する場合 1.11~2.10%
「担保なし」の融資を希望する場合 2.06~2.45%
新創業融資制度を希望する場合
(無担保・無保証人)
2.41~2.80%

参考:日本政策金融公庫「環境・エネルギー対策資金 令和2年10月1日現在、年利%」

返済期間は最大20年間となっており、融資限度額は7,200万円とされているため、個人規模の太陽光発電設備であれば十分に設備費用をまかなえる条件となっています。諸条件に影響されるものの、審査にかかる期間はおおむね1ヶ月程度です。

なお、上記の基準利率は売電事業を目的としている場合の金利であり、自家消費を目的とした10kW以上の太陽光発電設備に限り、基準利率より金利が0.4%抑えられている「特別利率A」の対象となります。

3.融資を利用せず太陽光発電を始める方法

融資を利用することで、自己資金を超える金額の運用が可能となるものの、これは「借金」をしている状況にほかなりません。そのため、借金をしつつ太陽光発電を始めることに抵抗がある場合には、融資を利用せず太陽光発電を始める方法に絞って検討する必要があります。

ここでは、融資を利用せず太陽光発電を始める2つの方法をご説明します。

3-1.太陽光発電ファンド

出資者から集めた資金をもちいて太陽光発電事業へ投資し、売電収入に基づく収益の一部を分配する金融商品を太陽光発電ファンドと呼びます。太陽光発電ファンドは少額投資が可能であり、弊社が提供する『ソライチファンド』の場合は1口50万円から太陽光発電事業に出資できます。

融資が不要であるほか、発電設備の管理業務や専門業者の手配も不要であるため、金銭的・時間的コストを抑えつつ太陽光発電事業を始める場合に適した金融商品です。太陽光発電ファンドの特徴や仕組みは、以下記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

3-2.住宅用太陽光発電

家屋の屋根に取り付ける住宅用太陽光発電も、融資を利用せず太陽光発電を始める方法の1つです。記事前半でも解説したように、10kW未満の太陽光発電設備は導入費用が100万~300万円前後であり、少なくとも1,000万円を超える事業用の太陽光発電設備に比べ価格は数段下がります。

発電設備としては小さく、あくまで自宅のエネルギー供給が主な用途となりますが、電気代節約やCO2削減を目的とするなら有力な選択肢の1つです。

4.融資を利用する場合のリスク・注意点

融資は大規模な太陽光発電投資を可能にしますが、いくつかのリスクをともないます。決して、ノーリスクでリターンを最大化できる手段ではないことを知り、利用検討の判断には細心の注意を払ってください。

4-1.融資の返済が困難となるケースがある

融資によって自己資金を超える投資額を扱うにあたり、その裏側には「融資の返済が困難となる可能性」が付きまといます。借入返済が困難となるケースとして、以下のような3つの場面が挙げられます。

  • FIT制度における認定の取消処分を受ける
  • 低い実質利回りによるマイナスキャッシュフロー
  • 損害保険に加入しないまま災害・盗難被害に遭遇する

借入金の返済シミュレーションは、FIT制度による太陽光発電投資の事業収益をもとに成り立っているケースがほとんどです。そのため、発電設備の安全性や基準適合に問題があり、指導や改善命令に従わずFIT制度の認定が取消となった場合には、キャッシュフローが悪化して借入金の返済が困難となります。

ただし「FIT制度の適用対象であれば返済に困ることはない」ともいえません。設備の運用コストを考慮した利益率である「実質利回り」が低い水準であれば、キャッシュフローはマイナスとなる可能性があります。たとえば、融資を利用して以下条件で借入を行ったと仮定します。

項目 条件
設備費用 1,000万円
実質利回り 8%
融資額(元利均等返済方式) 1,000万円
金利 2.5%
返済期間 15年

上記のケースでは、実質利回り8%に対して金利が2.5%ですからスプレッド(利ざや)があるようにみえますが、実際のキャッシュフローはどうなるでしょうか。

1,000万円の設備費用を全額借入でまかなうと、毎年約80万円(返済元金+利息)の返済を行うこととなります。一方、設備費用1,000万円に対して実質利回りは8%であるため、売電収入から経費を差し引いた利益額は80万円となり、単純計算で初年度のキャッシュフローは0円となります。

一般的に実質利回りの計算には、パワーコンディショナや遠隔監視装置(出力制御ユニット)の修理交換費用や設備撤去費用は入っていないでしょう。また所得には所得税や住民税といった税金がかかります。これらの費用を想定した場合、20年間のトータルではプラスになるかもしれませんが、借入が終わる15年目まではマイナスキャッシュフローが続いて借入返済が苦しくなることが予想されます。

キャッシュフローに無理のない投資をするためには、投資総額に対して自己資金の割合を25~30%程度確保し、借入の返済が終わるまで売電で生じた収益を消費せずに蓄えておくことが望ましいでしょう。

なお、元金の返済部分に関しては経費計上の対象とならず、売電収入からは諸経費と利息部分しか差し引けません。元金の返済部分を経費に加えてシミュレーションすることのないよう注意してください。

このほか、損害保険に加入せず災害・盗難被害に遭遇した場合、借入金を返済できないまま事業継続が困難となる可能性もあります。損害保険の契約費を削減するなど過剰にコストカットをする行為もまた、借入返済を困難にするリスクをはらんでいることに留意しましょう。

4-2.金利・返済期間が変われば返済総額は大きく変わる

わずかな金利差や返済期間の相違を軽視するのは禁物です。融資額を1,000万円とした場合に、金利と返済期間が返済総額にどれほどの影響をもたらすのか可視化したものが以下の表です。

金利 返済総額(返済期間15年) 返済総額(返済期間20年)
金利1% 1,077万2,820円 1,103万7,360円
金利2% 1,158万3,180円 1,214万1,120円
金利3% 1,243万440円 1,331万400円

※計算結果は概算であり、実際の返済額を保証するものではありません。(元利均等返済)

融資額1,000万円でもこれほどの差が生まれるため、より大きな導入費用を要するケースではさらに金利・返済期間が返済総額を左右することとなります。この事実を念頭に置き、融資を検討する際はわずかな条件の違いも敏感にキャッチするよう意識することが推奨されます。

5.まとめ

投資目的で太陽光発電を始めるのであれば、1,000万~2,000万円ほどの導入費用が必要となるため融資はほぼ必須です。

これに抵抗を覚え、融資を利用せずに太陽光発電を始めるのであれば、太陽光発電ファンドや住宅用太陽光発電の導入が選択肢に挙がります。それぞれ、投資目的であれば太陽光発電ファンド、電気代節約やCO2削減に魅力を感じるなら住宅用太陽光発電が適しているでしょう。

なお、融資の傾向は金融機関によって異なることはもちろん、投資を検討している案件や借入のタイミングによっても変動するため、本記事はあくまで参考材料として捉えてください。


前へ

2,000万円を資産運用するときのポイントとおすすめの投資手法3選

次へ

太陽光発電ファンドとは?仕組み・利回り・リスクについて徹底解説