少額から投資OK|太陽光発電ファンドの特徴・利益の仕組みを解説

 

この記事の目次

少額から運用可能な投資商品の1つに「太陽光発電ファンド」があります。

多額の初期投資を必要とする太陽光発電投資に比べて、太陽光発電ファンドはどういった点で優れており、どのような短所を抱えているのでしょうか?

ここでは、少額から運用できる太陽光発電ファンドの仕組み、太陽光発電投資との具体的な違いをご説明します。

不向きな投資を選ばないよう、投資判断のコンパスとして本記事をご活用ください。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 太陽光発電ファンドはお金・時間ともに少額投資OK
  • 太陽光発電投資は「借金」に抵抗がなければ候補
  • 借金・設備管理の手間を避けるならファンドが有力

1.太陽光発電ファンドはどのような投資商品?

ファンドは、複数の出資者から資金を集めて事業投資を行い、生まれた収益を出資者に還元する仕組みの金融商品です。

このうち、事業投資の対象が太陽光発電であり、出資者に売電収入に基づく収益の一部を分配するファンドを太陽光発電ファンドと呼びます。

また、太陽光発電設備をオペレーターに賃貸し、賃料収入に基づく収益の一部を分配する仕組みの太陽光発電ファンド(賃貸型スキーム)もあります。

つまり、太陽光発電ファンドは、間接的に太陽光発電投資に関われる投資商品なのです。

ただし、太陽光発電投資と比較したとき、太陽光発電ファンドは以下のようなメリット・デメリットを持っています。

太陽光発電ファンドのメリット 太陽光発電ファンドのデメリット
少額から投資を始められる 金融機関の融資を利用した投資はできない
設備運用を専門家に一任できる 発電設備の設置場所・運用方針は決められない
値動きを気にせず資産形成ができる 非上場ファンドは原則として中途解約ができない

ここからはメリット・デメリットの具体的な解説、および「少額 × 太陽光発電投資」という特徴を持った太陽光発電ファンドは、太陽光発電投資とどういった相違点があるのか主なポイントをご説明します。

なお、太陽光発電ファンドといっても運用形態は複数あり、一概に「太陽光発電ファンド」と名の付く全商品が同じ特徴を持っているわけではありません。

投資前には、検討先がどういった条件のもと運用される太陽光発電ファンドなのか確認してください。

1-1.太陽光発電ファンドのメリット

太陽光発電ファンドの主なメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 少額から投資を始められる
  • 設備運用を専門家に一任できる
  • 値動きを気にせず資産形成ができる

まず、複数の出資者が資金を持ち寄って太陽光発電設備を運用するため、1人あたりの最低負担額は少額です。

融資が必要となるケースの多い太陽光発電投資とは異なり、自己資金のみで運用を始められることが第一のメリットでしょう。

また、太陽光発電ファンドであれば設備運用にかかる手間は一切なく、運用業務のすべてを専門家に任せられます。

出資者自身が本業の合間や休日に時間を割く必要はないため、金銭面のコストだけでなく時間的なコストの負担も極めて小さいのです。

さらに、株式投資や投資信託とは異なり、太陽光発電設備にのみ投資をする非上場ファンドは、原則として投資商品の売買が発生しないため値動きはありません。

こまめに投資商品を売買する必要がなく、市場分析に時間を割く必要がないため、金銭的にも時間的にも無理なく本業と両立できる投資手段だといえます。

1-2.太陽光発電ファンドのデメリット

メリットばかりに思える太陽光発電ファンドにも、以下のようにデメリットがいくつかあります。

  • 金融機関の融資を利用した投資はできない
  • 発電設備の設置場所・運用方針は決められない
  • 非上場ファンドは原則として中途解約ができない

自ら発電設備を運用する太陽光発電投資は、融資を利用して自己資金以上の投資額を用意できます。

一方、太陽光発電ファンドの運用に対して融資は利用できないため、貯蓄がなくても大きなスケールで資産形成をスタートできる点は太陽光発電投資に軍配が挙がります。

また、発電設備の直接的な所有者は自身ではなく、発電設備の設置場所や運用方針はすべて出資先に委ねることとなります。

運用業務の一切を専門家に任せる構造上、設備運用にまつわる決定権がないことも見方によってはデメリットだといえるでしょう。

最後に留意すべき点は、非上場ファンドは原則として中途解約ができず、あらかじめ決められた期間は権利を譲渡できないことです。設定期間中は出資したお金が拘束され、任意のタイミングで引き出せないことに留意してください。

ただし、実物の太陽光発電設備も換金性に優れているとはいえません。

太陽光発電投資にまつわる投資商品を選択する以上、中長期的な運用を想定しているケースが多いため、出資額さえ誤らなければ中途解約の制限は大きなデメリットにはならないでしょう。

2.太陽光発電ファンドの利益の仕組みとは

少額から投資できる太陽光発電ファンドは、運用の手間がかからず値動きがない点がメリットだと解説しました。

しかし、ファンドに投資した経験がなければ、具体的に「出資してから利益が分配されるまで」の流れがどうなっているのか分かりづらいものです。

出資された資金はどのように活用され、出資者の利益はどのようにして生まれているのでしょうか?太陽光発電ファンドは提供元により仕組みが変わるため、ここでは弊社が提供する『ソライチファンド』を例にして全量買取の太陽光発電ファンドの仕組みを解説していきます。

なお、ソライチファンドは賃貸型スキームの太陽光発電ファンドです。

太陽光発電ファンドの仕組み(運用の流れ)
  1. 出資者(投資家)が営業者(合同会社)に出資
  2. 出資金をもちいて営業者が太陽光発電設備に投資
  3. 営業者が太陽光発電設備をオペレーターに賃貸
  4. オペレーターの運用のもと、発電された電力は電力会社に売却
  5. 売電量に応じて、オペレーターは売電収入を獲得
  6. オペレーターが営業者に対して、賃借料を支払い
  7. 運営費用と内部留保を差し引いて出資者に分配

今回例に挙げたソライチファンドは、上記のような仕組みにより出資者と太陽光発電投資が結び付いており、少額から間接的に発電事業に関われる投資商品となっています。上記のうち、出資者が直接行わなければならない作業は、1の「出資」のみです。

全体の仕組みとしては複雑に思えるものの、出資者目線で見れば「出資して分配金を受け取る」といったシンプルな流れとなっています。

実際に行われる面倒な手続き、運用にかかる専門家の手配やメンテナンス業務が2以降の出資者に見えない部分で行われる点は、太陽光発電ファンドの特徴だといえるでしょう。

3.太陽光発電ファンドと太陽光発電投資との違い

太陽光発電ファンドを通じて発電設備を運用する場合と、自ら発電設備を運用して太陽光発電投資を行う場合を比較したとき、どのような点に違いがあるのでしょうか。ソライチファンドと太陽光発電投資を例に、初期費用や運用期間を始めとする諸条件をまとめました。

  太陽光発電ファンド
(ソライチファンド)
太陽光発電投資
(10kW以上50kW未満)
初期費用 1口50万円 1000万円~2000万円程度
運用期間 最大20年間 FIT制度の適用期間は20年間
運用業務 出資者にかかる手間はない 事業者自身で委託者を手配
専門知識 出資者であるため不要 事業者(経営者)であるため必要
中途撤退 原則として中途解約は不可能 中古市場で設備を売却できる
融資の利用 融資は受けられない 金融機関の融資を利用できる
出口戦略 出口戦略を考えなくても良い 出口戦略を考えなければならない

上記の「太陽光発電投資」は、個人規模の投資にもちいられることの多い10kW以上50kW未満の事業用発電設備を想定しており、住宅の屋根に取り付ける発電設備よりも初期費用は高くなっています。

しかし、住宅用太陽光発電の場合、発電した電力はまず自家消費しなければならず、発電した電力をすべて売却できないため収益性は下がります。

そのため、初期費用を抑えて住宅用太陽光発電にする選択は、投資の観点でいえば合理性に欠けるといえるでしょう。

また、発電した電力を電力会社が固定価格で買い取る「FIT制度」は、住宅用太陽光発電の場合であれば10年間です。そのため、資産形成に重きを置いて運用するなら、選択肢は太陽光発電ファンドか事業用の発電設備に絞られるのです。

これを踏まえて、次章では「どんな場合に太陽光発電ファンドがおすすめなのか」についてご説明します。

太陽光発電投資やFIT制度(固定価格買取制度)についての詳しい情報は、以下の記事で解説しています。

4.太陽光発電ファンドはこんな場合におすすめ

ここまでの解説から分かるように、太陽光発電ファンドも太陽光発電投資も一長一短があり、一概にどちらの方が優れていると断言できるものではありません。

しかし、自身の希望する前提条件と照らし合わせることで、どちらが投資先として有力候補になるのか判断できます。

少額投資を可能とする太陽光発電ファンドは、以下のいずれかに当てはまる場合に推奨される投資商品だといえるでしょう。

  • 借金をしたくない
  • 運用業務に時間を割けない
  • 実物資産の保有に抵抗がある
  • 少額から再エネの普及に貢献したい

費やせる自己資金や時間が限られているなか、借金をせず運用の手間を省略して太陽光発電投資を始めたいのであれば、全量買取の太陽光発電ファンドは有力な候補となります。

また、実物資産を保有するわけではないため、物件を視察したりトラブル時に駆け付けたりする必要がないことも、運用の精神的負担を減らす要素になるでしょう。

一方、自己資金は少ないものの、多額の投資額を借り入れることに抵抗がなく、初めから大きな投資額の運用を行うのであれば太陽光発電投資も候補に挙がります。

太陽光発電投資のメリットとデメリットは以下の記事で解説しているため、自ら発電設備の運用を行う手法に関心がある場合はご参照ください。

5.まとめ

少額から運用できる太陽光発電関連の投資商品は限られているため、借入をさけつつ太陽光発電投資を始めたいのであれば選択肢は多くありません。

そのため「少額 × 太陽光発電投資」を実現する全量買取の太陽光発電ファンドは、太陽光発電投資に興味を持ちつつも融資による借金のリスクを負いたくない場合に有力な投資候補となるでしょう。

まずは、どのような条件の投資を始めたいのか、自身の希望する前提条件を考慮してみてください。


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